留年少女A ページ18
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一生懸命勉強して受かった進学校。
やりたいことなんて見つかっていないけどとりあえずいい高校に行きたくて、中学生活をほとんど勉強に費やした。
でもこんなに頑張っても神様は私に微笑んでくれなかった。
入学式にいろんな子にたくさん話しかけて、中学生活を取り戻そうとした計画も全部パーになる。
少しの体の異変に病院に行って告げられたのは胃癌。
幸いにも早期発見で完治したものの、気づけば1年が過ぎていて、学校に登校すれば違う色のスリッパを履いた生徒がたくさん。
クォーターで目立つ顔立ち。
抗がん剤治療の為に、抜け落ちた髪もギリギリショートカットと言えるぐらいには伸びているけど、異質な私が1年生の廊下を歩けばみんなが道を開けた。
やるせなくてため息をつく。
もともとつり目であまり良くない目付きのおかげできっとあらぬ噂を流されるんだろうなあ、と考えると私から話しかける勇気はとっくの昔に消えていて、私は半ば諦めながらクラスの引き戸を引いた。
痛いほど刺さる目線と、ヒソヒソと喋る女子達の会話に気付かないふりをした。
椅子を引いて自分の席に座る。
鞄を下ろして一息つくと感じる左からの熱視線に目を向けると、横の席の女の子と目が合った。
「私、佐藤A。よろしく!」
「え、あぁ、高瀬あいら。よろしく」
変な人。
普通隣に座った目付きの悪い留年生に声かける?
私が逆の立場やったら絶対かけてないなって考えながら、JRやけどって答えた。
Aちゃんはそれでも気にすることなく喋りかけてくるから思わず話を遮る。
「普通そんな話しかける?留年生って聞いて気まずくならんの?」
そしたら関係ないし仲良くしたいって。
ああ、この子絶対いい子やなって思って思わず顔が綻んだ。
頬ずえをついたままAちゃんは私の顔をのぞき込む。
「あいらちゃんやからあーって呼んでいい?」
独特なあだ名のセンス。
初めて呼ばれる呼称にすこし笑いながら頷いた。
「私のことはAって呼んでな!」
「うん。よろしくな、A」
「うん!!!」
あぁ、神様は微笑んでくれないなんて決めつけるのはまだ早かった。
Aは、神様から頑張った私への最高のプレゼント。
今日から始まる高校生活に胸が高鳴った。
「あー?今日一緒に帰ろ?」
「うん」
周りの目線だってもう怖くない。
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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんありがと!!!!!!! (2019年3月30日 13時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - やっぱりやっぱり大好き( ; ; )( ; ; ) (2019年3月28日 23時) (レス) id: fd599d71d8 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - オクラさん» オクラさん!コメントありがとうございます!(○´ー`○)頑張ります! (2018年8月19日 11時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
オクラ - とても面白いです(><)更新頑張ってください!!! (2018年8月19日 11時) (レス) id: 7ba911c0c9 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ∞くらら∞さん» ∞くらら∞さん!コメントありがとうございます!頑張ります!!! (2018年8月2日 1時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じょび | 作成日時:2018年7月9日 15時