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卒業と前進 ページ14









「うぇぁ遅刻する〜」

「なんなんうぇぁって笑」



最後だった。


学校の行きしにAの家に行くのも、起きてこないAの部屋に上がって起こすのも、支度してる間にとうふと遊ぶのも、遅刻しないように走って学校に向かうのも最後だった。



久しぶりに一番上まで止めた学ランのボタンをまた外す。


一年生のときぶかぶかだった学ランも今では少し小さくて、しみじみしながら体育館に入った。



「またA寝坊したん?寝癖ついてるやん笑」

「そうやねん、いつ迎えに行っても寝てんねんで?ヤバない?笑」

「昨日各駅で帰ったから京阪乗った時終電やったやん!それのせい!」

「寝癖酷すぎやろ笑」

「そんなん言うてるけど海ちゃんも寝癖ついてんで?♡」

「うそやん!!!」



ぴょこんと跳ねた前髪を手で抑えた海ちゃんはAに髪の毛を止めてもらっていた。

祐介と俺は一歩下がってそれを見る。


しばらくして全員集まって席についた。


いつも通り、式とは思えないグダグダ感満載の学校。

担任が花束を受け取って、校歌歌って着席。


最後の日なのによっぽど眠かったのか、Aはいつも通りこくりこくりと船を漕いでいた。




式が終わって退場する。

見たことない女の子がいっぱい来て第二ボタンくださいって言われるけど、知らん子にあげたくないし、彼女おるしって断る。


それでも群がってくる子に戸惑っていると、ぎゅっと掴まれた左手。


海ちゃんがギュッて握ってて、それを握り返すと俺を引っ張りながら海ちゃんは体育館裏に隠れた。




「あんな、」

「うん」

「わたし遠距離とか絶対できひんねん」

「うん」

「だから、別れよ、大倉くんもジャニーズでデビューしたらあれやし。」



俺の初恋が終わる音がした。

俯きながら話す海ちゃんは笑顔で、あぁ、しゃあないなって納得する自分がいて、感謝の気持ちと寂しい気持ちと好きな気持ちで心がいっぱいになる。



「うん。ありがとう、俺に恋を教えてくれて。」

「こっちこそありがとう。ほんまに最強で最高の彼氏やった。」

「これ受け取ってや」



俺は第二ボタンをとって海ちゃんに差し出す。


コロンと手のひらに乗った小さな証に笑いながら、俺の初恋の人がまたありがとうって笑った。



悲しいけど、感謝の気持ちの方が強くて不思議な気分だった。


失恋てこんな感じやったんか。









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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんありがと!!!!!!! (2019年3月30日 13時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - やっぱりやっぱり大好き( ; ; )( ; ; ) (2019年3月28日 23時) (レス) id: fd599d71d8 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - オクラさん» オクラさん!コメントありがとうございます!(○´ー`○)頑張ります! (2018年8月19日 11時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
オクラ - とても面白いです(><)更新頑張ってください!!! (2018年8月19日 11時) (レス) id: 7ba911c0c9 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ∞くらら∞さん» ∞くらら∞さん!コメントありがとうございます!頑張ります!!! (2018年8月2日 1時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じょび | 作成日時:2018年7月9日 15時

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