大倉くんと女の子【緑】

約12秒 ページ14

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今日は、体力テスト。


体操服に着替えた俺たちは運動場に出た。

空は快晴で、風が少し吹いている運動日和。


だけどAの顔は心做しか暗い。


｢どうしたん？｣

Aは真剣な顔で笑わんといてな、と一言


｢私めっちゃ走んの遅いねん｣

｢俺もそんな速ないで？｣

｢ちゃうねん。もう、才能がないねん多分｣

｢大丈夫やって笑｣


その時チャイムがなって、全員で急いで体操体系になる。

ラジオ体操、屈伸、アキレス腱、馬跳びをしていよいよ50メートル走の時間。

今日の日直は俺なので、1番最初に俺が走ってみんなの記録を測ることになった。


｢位置について、よーい｣

パンっと火薬が破裂した音が鳴るのに合わせて勢いよくダッシュする。

記録は8秒台でまずまず。


そしていよいよAの順番。

｢位置について、よーい｣


俺と同じように音に合わせて足を動かしたのに、俺が想像した以上に足が遅い。


｢記録！12秒18！！｣


｢っっは、、｣


｢っうひ、｣

｢だ、から、笑わうとってや、｣

｢だって、ふふ、遅すぎやろ笑笑｣

｢一生懸命やねんで！？笑｣


思わず笑ってしまった俺につられてAもけらけらと笑い出した。


全員の記録を測り終えて見返してもクラスで1番遅いのはもちろんAで、タイムに似合わないやりきった顔を思い出してまた笑ってしまう。

｢また笑ってる！8秒台やからって調子のんなや！笑笑｣

｢いや自分も笑てもうてるやん爆笑｣

｢人の揚げ足ばっかりとってあんたはホンマにも〜！笑笑｣

｢おかんの真似せんといて笑笑｣


ずっと笑い続ける俺をAはぷりぷり怒りながら追いかけてくるけど案の定追いつくことなんてなくてそれにまた笑ってしまう。


｢もう！次給食やから帰るで！｣


｢ごめんって〜笑笑｣


ぷりぷり怒ったまんまのAに謝りながら、靴箱で靴を脱いだ。





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