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涙の表面張力 ページ1










小学校1年生の夏。

お父さんが店を経営するとかで、俺は新しい街に引っ越した。


幼稚園から一緒だった友達から貰った手紙は、移動中に俺の涙でぐちゃぐちゃに濡れてしまって、小さな俺はそれが悲しくてまた涙がポロリとこぼれた。



悲しみに浸る暇もなく1日が開けて新しい小学校へ向かう足取りは重い。

元々明るい方でもないし、人見知りするタイプの俺にとって一から友達を作るのは簡単な事じゃない。




「今日から転校してきました。大倉忠義です。
よろしくお願いします。」


担任の若い女の先生に連れられて震える声で挨拶をすませる。

一番後ろの席にそっと座ると、前に座っていた身長の高い男子が振り向いてニヤリと笑った。



「大倉くん、今日、放課後遊ぼうや」


嫌な汗が背中を伝った。

断ることも出来なくて小さく頷くと男子はニヤニヤほくそ笑みながら座り直した。


このまま授業が終わらないことを願ったけれどそんなこと叶うはずもなくて、虚しくも下校を知らせるチャイムがなる。








「お前調子乗んなよ!」

公園にほとんど引きずられる形で連れてこられた俺はなんの脈略も無く例の男子に肩を突き飛ばされた。


男子の取り巻きはニヤニヤ笑いながらこちらを見ていて、早くも俺の目には涙が溜まる。


普通に挨拶をして普通に授業を受けただけやったのに何が調子乗ってたんやろ、

弱気な俺はそんなことしか考えれなくて、思考を巡らせてるうちに胸ぐらを掴まれて遊具に押し付けられた。



俺は知っている。

いくら考えを巡らせてもこの状況を回避できないことも。

俺が特別悪いことをしたわけでもないけど、この胸ぐらを掴む少年が俺の学校生活をドン底に叩き落とそうとしていることも。




堪えきれなくなった瞳の水面はついに表面張力を起こしたあと涙がポロリと落ちた。



だから転校なんてしたくなかったのに。





ひーろー?→



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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんやろ!!!IDでわかるんやからね!私も好き!!! (2018年12月17日 8時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - すき!! (2018年12月8日 20時) (レス) id: dd33592cf0 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ゆうさん» 住野よるさんの作品素敵ですよね!嬉しいお言葉ありがとうございます!頑張ります!! (2018年8月29日 16時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - そうです!!!住野よるさん私も大好きです!!!これからもじょび様の作品楽しみにしております(^^) (2018年8月28日 22時) (レス) id: d221d00b99 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ゆうさん» ゆうさん!コメントありがとうございます!住野よるさんの文学作品のことでしょうか、、、それならとっても嬉しいです!あの作品、とっても大好きで何回も読み返したのを思い出します(> <)意識はしてなかったのですがとっても嬉しいです! (2018年8月28日 22時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じょび | 作成日時:2018年4月8日 1時

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