後日談 その3 ページ48
幻太郎は本当になにもする気がないようで、適当に本を引っ張り出して開いては、つまらなさそうに閉じるを繰り返していた。
今日は泊まる気なのだろうか。
A「幻太郎、私今日たぶん寝ないから、ベッド好きに使ってもいいよ」
夢野「ああ」
幻太郎の返事はそっけなく、
Aの方に顔も向けない。
最初追い返そうとしたせいで少しすねているようだが、
こればかりはしかたがないとAも諦めて机上に視線を戻した。
しばらくペンを走らせていると、横から包みを開けたチョコレートの箱が差し出された。
先ほど幻太郎が言っていた、Aの好きな店のものだ。
夢野「貴方のために買ってきたんだ、食えよ」
放り投げるようにそれを寄越したきり、
幻太郎は再びそっぽを向いて本に目を落とし、何も喋らなくなった。
久々に会う自分を喜ばせるためにこれを買いにいってくれた幻太郎のことを思うと、
今のほったらかしの状況にAは少々罪悪感を覚えた。
幻太郎の背中にありがとうと一声かけて、チョコレートを食べる。
美味しい。
が、いつもと違うことがひとつ。
A「ん?これお酒入ってる…?」
じんわりとした熱とかすかなアルコールの香り。
夢野「たまにはいいでしょう?」
こちらに振り向くこともなく、幻太郎はぶっきらぼうにそう答えた。
集中すべき時にアルコールを摂取するのは好ましくないだろう。
しかし、せっかく幻太郎が買ってきてくれたチョコレートだ。
ここで食べるのを渋って幻太郎の機嫌をこれ以上損ねるわけにはいかない
A「すっごく美味しいよ!ありがとう幻太郎!」
夢野「そうか」
なるべく元気よく感謝の気持ちを言ってはみたが、幻太郎からの返事は相変わらず不機嫌そうだ。
今日はできるだけ頑張ってレポートを進め、
明日はいっぱい幻太郎の相手をしようと、Aは心に決めたのであった。
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るうみ - 続きめっちゃ気になります()無理せず頑張って下さい!応援してます (2020年1月6日 23時) (レス) id: d801fe8186 (このIDを非表示/違反報告)
そーか - 続きが楽しみです!頑張って下さいね! (2019年12月31日 23時) (レス) id: 43c04a9725 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2019年12月31日 13時