幼馴染が私にだけ意地悪な件【夢野 幻太郎】

37話 ページ37

乱数直々に教わったその作戦。



その作戦は



『満員電車でひたすら胸を押し付けろ』


ただこれだけだ。


乱数が言うには、これだけで男の意識はすぐに自分以外にしか向けられなくなるという。


既に押し付ける事をしないでもいいぐらいの密着度だが、

これだけでは推しが弱いのかもしれない。

現にちらりと幻太郎を見つめると、

その表情はいつもと変わらず、

しかもそっぽを向いてしまっていて、

ちっとも意識などされていない様子だった。


恥ずかしいけど私はやる！！！

頑張れる。

私は頑張れる！！

幻太郎に振り向いてもらうんだ！！！


『胸を押し付ける』という行為に夢中になり、リズミカルに幻太郎の胸板へとむぎゅむぎゅと押し付け続けた。




電車の揺れとリズムを合わせて、あくまで自然に胸を押し付ける




最後にひときわ大きな揺れが車内を伝わったため、




(ああ、今のはクリティカルが出たな)

とAは思った。

38話→←36話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す