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第10話 ページ10

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「最悪だ」




家に帰って真っ先にシャワーを浴びたAは自分の失態を振り返り、頭を抱えていた。


後輩の前で泣くなんて、Aはそれで頭がいっぱいだった。
以前付き合っていた人に復縁を迫られて困っている所を後輩に助けられて、挙句の果てに後輩の前で涙を流すなど、Aにとっては言語道断、汚点でしかなかった。
自分が罵られたことなど、もう眼中にないくらに。



確かに、彼があの場面で助けに来てくれたことは本当に助かったし、感謝しきれないのは間違いなかった。けど、それとこれとは話が別だった。


A先輩は悪くないよ、越前の言葉がリフレインした。


やはり、Aは頭を抱えるしかなかった。あの時の越前の瞳には、エリアを越えた何か、そう、情愛が篭っていた。Aにもそれが分かっていた。


最悪だ。呟いた言葉は熱気と共に消えていった。




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「A〜昨日大変だったみたいだね」


朝、いつも通り登校すれば友人が心配そうにAの顔を覗き込んだ。中学生の頃よりも頬がシャープになった彼女にAは少しだけ時の流れを感じた。


「ん〜まぁ私に落ち度があった気がするし、」


間違ったことは言っていないと思った。



結局、執着心が強く彼女というステータスを求めるだけの男に頷いてしまったのがAの過ちだった。それを見抜けなかったAに落ち度があると分かっていた。



Aは席に腰を下ろした。


「あいつ、私の可愛いAに手出しやがって…」

「こらこらお嬢さん、お口が悪いですよ」



Aに起きた不幸をAのように、それ以上に怒ってくれる友人にAは心底この子と出会えて良かったと感じた。

一生この子を大切にしよう、そう誓った。

昨日の出来事をAとしては出来れば振り返りたくなかったが、致し方ないか。



「そういえば誰かが助けてくれたんだって?」


友人の透き通った瞳がAを真っ直ぐ見つめた。
ああ、昨日は、と口篭るAに友人は眉間に皺を寄せた。

Aは失念していた、友人が非常に鋭い子だということを。


「A、越前が呼んでる」



越前、そのワードに友人が鋭い視線をAに向けた。


Aを呼びに来た不二は、狼狽えるAを横目に栗色の髪の毛を揺らしながら楽しげに口角を上げていた。



助け舟かと思ったそれは、想像以上の爆弾だった。Aは目を逸らすしかなかった。


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福原(プロフ) - ぱーぷる姫さん» ありがとうございます‪‪❤︎‬ぱーぷる姫さんにそう言っていただけて光栄です( X_X ) (2月24日 1時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 涙が溢れ出ました!あまりに綺麗で切ない表現に何度も読み返しました。ありがとうございました! (2月18日 15時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
福原(プロフ) - 幸絵さん» ご感想ありがとうございます(;_;)またどこかで2人が会える日がくることを願っています、、リョーマ!失恋組!初遭遇です!やはり初恋は実らないものですね、、 (2021年11月10日 9時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
幸絵(プロフ) - 完結おめでとうございます!ついついヒロインの先輩と結ばれて欲しい〜って思ってしまいました。話は変わりますが、『劇場版リョーマ!』私も失恋した気分になりました! (2021年11月10日 6時) (レス) id: 4696a5fece (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:福原 | 作成日時:2021年9月17日 0時

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