第6話 ページ6
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「君、うちの学校一応ジュース禁止でしょ」
「先輩、今日も暑いっすね」
「こら話を逸らさない」
委員会に参加していたAはいつもより遅い時間に帰路に着こうとした時、見知った顔を見つけた。
下駄箱の近くにある花壇に腰かけ、越前はテニスコートを眺めていたように思う。
下校時刻をすぎる頃には、汗ばむことなく過ごしやすい気候がAを迎え入れた。
自動販売機で10円の貸しを作ったAは、越前と顔を見合せる度に軽口を叩く仲になっていた。
軽口、と言うよりも会釈程度ではあるが。
お互い自己紹介をした仲ではあるから、まあ間違ってはいないと思う。
そういえば、この子はこの前もPontaを飲んでいた気がする。
好きだねそれ、と越前の手元にある飲料を指せば、越前はまあね、と視線をAに移して答えた。
「今日は部活じゃないの？」
「今日は委員会の日でしょ。」
凛とした風貌の彼に、比較的ポップなPontaのパッケージが不釣り合いだった。昼間より涼しくなった風が越前の髪の毛を揺らす、Aの黒髪も揺れていた。
ああ言えばこう言う、越前を表すにはピッタリの日本語だった。
「…あのねぇ。委員会に参加してから言ってもらってもいいかな？」
「参加してるよ、図書委員」
「外で委員会を開く図書委員があるか」
この生意気なヒーローくんは、唯我独尊と誰かが言っていたような。Aはそんな気がしていた。
何も恐れていないような、そんな越前がどこか羨ましかった。Aは凝り固まった肩を動かして歩き出した。
「うちの学校のヒーロー様には頑張ってもらわなきゃな〜」
キョトン、と効果音がつくように目を丸くしてから越前は肩を揺らしながら笑い出す。
「前から思ってたんすけど、先輩って結構面白いよね」
「こら少年、私2つ上なんだけど？」
じゃあね、とAは再度足を進めた。
「まって、先輩」
後方から届いた声にAは視線だけ後ろによこす。声をかけた当人は少しだけ目を見開いてバツの悪そうな表情を浮かべた。
「あはは、呼び止めたのにその顔？」
いつも余裕そうな越前の表情がコロコロ変わるのが面白くてAは思わず吹き出した。
越前のバツの悪そうな表情が少しだけ緩んだ。
「いや、別に」
汗をかいたPontaに視線を移した越前を視界に入れて、Aは2度目の会釈をした。
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福原(プロフ) - ぱーぷる姫さん» ありがとうございます❤︎ぱーぷる姫さんにそう言っていただけて光栄です( X_X ) (2月24日 1時) (
レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 涙が溢れ出ました！あまりに綺麗で切ない表現に何度も読み返しました。ありがとうございました！ (2月18日 15時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
福原(プロフ) - 幸絵さん» ご感想ありがとうございます(;_;)またどこかで2人が会える日がくることを願っています、、リョーマ！失恋組！初遭遇です！やはり初恋は実らないものですね、、 (2021年11月10日 9時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
幸絵(プロフ) - 完結おめでとうございます！ついついヒロインの先輩と結ばれて欲しい〜って思ってしまいました。話は変わりますが、『劇場版リョーマ！』私も失恋した気分になりました！ (2021年11月10日 6時) (レス) id: 4696a5fece (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：福原 | 作成日時：2021年9月17日 0時
