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第23話 ページ23

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簡単に言うと、Aは非常に困っていた。この場で頭を抱えてやろうかと思うくらいには困っていた。
目の前で涙を浮かべる彼女に、Aは言葉通りオロオロしていた。


「どうしたの?」

「と、図書委員会がどこでやってるのか分からなくてぇ…っ」


不二と隣り合わせで課題に取り組んでいた(正しくは取り組んでいる風)Aは、突然の来訪者に驚きを隠せなかった。

それにいきなり泣き始めたのだ、堪らなくなったAは彼女に駆け寄った。どこか既視感のある三つ編みの彼女にAの心は曇っていたことに気づかないふりをして。



「竜崎さんじゃないか」


不二の横顔を思わず凝視した。そうだ、思い出した。この子は。



「ふっ、不二先輩…!」



少しだけ頬を赤くした彼女は急いで頭を下げた。
なんだか忙しい子だな、それがAの彼女に対する印象だった。Aと不二の顔を交互に見た桜乃はこれまた林檎のように頬を赤くした。

感情が全て顔に出る桜乃に不二はクスクスと笑いだした。




「綺麗な顔してるでしょ?」



彼女、そう言ってAを指した不二に、桜乃は効果音がつくくらいに頷いた。
Aは馬鹿じゃないの、と半ば呆れながら不二の肩を小突いた。

桜乃から見れば2つ上の学年はどこか遠くの存在、大人に見えていた。余裕のある2人のやり取りに桜乃は見とれていたようだった。



「本当に綺麗な人…」



ポツリ、と呟かれた桜乃の言葉にAの動きが止まった。

この少女は何を言い出すのだろう、Aはいよいよ笑いが止まらなくなった。長い三つ編みが焦ったかのように揺れだしたのを横目にAは不二の背後に隠れるように笑い出した。



「竜崎さん委員会だって?」


不二がAを宥めるように肩を持ちながら、桜乃に優しく問いかけた。桜乃は本題を思い出したかのように目を大きくさせて、細い指で口元を隠した。



「…あっ!そうだった!ご、ごめんなさい!」

「図書委員会ならこの上だったと思うけど、」



桜乃の背後から聞こえた友人の声にAはハッとした。
友人は後輩の扱いに長けている、腰を屈めて桜乃と同じ視線で話す友人にAは少しだけ惚れてしまいそうになった。

嵐のように過ぎていく桜乃に、3年生の3人は懐かしさを思い出していた。






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福原(プロフ) - ぱーぷる姫さん» ありがとうございます‪‪❤︎‬ぱーぷる姫さんにそう言っていただけて光栄です( X_X ) (2月24日 1時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 涙が溢れ出ました!あまりに綺麗で切ない表現に何度も読み返しました。ありがとうございました! (2月18日 15時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
福原(プロフ) - 幸絵さん» ご感想ありがとうございます(;_;)またどこかで2人が会える日がくることを願っています、、リョーマ!失恋組!初遭遇です!やはり初恋は実らないものですね、、 (2021年11月10日 9時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
幸絵(プロフ) - 完結おめでとうございます!ついついヒロインの先輩と結ばれて欲しい〜って思ってしまいました。話は変わりますが、『劇場版リョーマ!』私も失恋した気分になりました! (2021年11月10日 6時) (レス) id: 4696a5fece (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:福原 | 作成日時:2021年9月17日 0時

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