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‥
チャイムが響くと皆一斉にペンを持って紙を捲る。文字を書く音にペンを持つ手に力が入った。
二年生になって、最初のテストが始まった。
いつになく緊張しているのは、テストの結果を気にしているからじゃなくて、このテストが終わってからのこと。
その連絡が来たのは、舞ちゃんとご飯を食べているときだ。
二口くんから、テスト中、一緒に帰んねぇ？と、あまり器用ではなさそうなメッセージにフリーズしてしまったのはつい数日前の出来事。
テスト中は部活がないらしく、受ける科目が違っても終わるまで勉強をしていればいいし、ということで二人で帰ることになった。
正直、緊張しすぎてテストどころではないんだけど……。
気持ちを切り替えるために吐いた溜め息は、静かな教室では妙に大きく聞こえた。
*
四回目のチャイムで、ペンを机に置いた。再生紙に空欄はほぼない。
普通に終わってしまった。
事情を知っている舞ちゃんに目を向ければ可愛らしくウインクをするだけ。
いつもより荷物が少ないからと選んだトートバッグを肩から下げて教室を出ても、緊張は解れない。
待ち合わせの昇降口に立っている二口くんを見て、あの日廊下に佇んでいた彼を思い出した。心臓の音が、より一層うるさくなった。
「二口くん、早いね」
「まあ、教室から近いからな」
「そっか」
「あー……帰るか。駅の近くだっけ」
「うん」
二口くんには何度も紅い顔を見られてるかもしれないけど、どうしても隠したくなっちゃうのが人間の性だと思う。
二口くんは長い脚をわたしに合わせるようにゆっくりと動かした。
「白石って頭良いんだっけ」
「そんなことは、ないと思うけど……」
「俺一限目分かんなすぎて裏面真っ白だったわ」
「裏面は解くのに時間かかったし、捨ててもいいと思うよ」
応用の応用みたいな感じでちょっと難しかったから。表面半分くらい埋まってればいけっかな。半分も埋まってれば十分だよ。
彼の科のテストの話でも聞いてみようか、と顔を覗けば二口くんは片手で顔を抑えて深く長い溜め息をついた。
あれ、わたし、なにかしちゃったかな。あ、二口くん耳あかい。
「甘やかすなよ……」
「え？」
「白石って人肯定すんの上手いよな」
「そ、そうかな。あんまり意識したことないかも」
「そういうとこすげぇすき」
嗚呼、また、二口くんのせいで体温が上がってしまう。
‥
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幸(プロフ) - あんみつさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです……！こちらまだ単行本未収録でしたか！申し訳ないです。注意書き追加しておきます。 (2020年3月1日 9時) (
レス) id: 08804b505e (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白くて更新凄い楽しみにしてました！！すごいキュンキュンさせられてました！最後の方に本誌ネタがあるんですが多分単行本派の方もいらっしゃると思うので本誌ネタ注意と書いておいた方が良いかと…… (2020年3月1日 8時) (レス) id: 86e8f7f917 (このIDを非表示/違反報告)
幸(プロフ) - 橘さん» コメントありがとうございます！私の書く二口くんにときめいてくださっているのなら嬉しい限りです！ (2020年3月1日 2時) (レス) id: 08804b505e (このIDを非表示/違反報告)
橘 - とても面白く二口くんにキュンキュンさせられてますww (2020年2月9日 19時) (レス) id: a7677655c7 (このIDを非表示/違反報告)
幸(プロフ) - アヤミさん» コメントありがとうございます！少女漫画のイケメンような二口くんを書きたいと思い作成したので、そう言っていただけて本当に嬉しい限りです！応援ありがとうございます、これからもこの作品を宜しくお願い致します。 (2020年1月16日 22時) (レス) id: 08804b505e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幸 | 作成日時：2020年1月13日 19時
