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開けた窓の縁に腰を掛け、足を外へ投げ出すゾム。
ここは三階だ、バランスを崩したら落ちて大怪我をしてしまう。
しかしそんなことはまるで気にしていない様子だ。
と言うよりも壁をロープ伝いに降りて来るような人だから、もし落ちそうになったとしてもそれを物ともしない術か身体能力を持っているのだろう。
その状態のゾムと話す内容は最初は世間話だった。
昼間に鬱とシャオロンと街に出た時の話や、夕食での兄さんの話など身内の話が中心だったが、ふと会話が途切れたところで彼は夜空の月を仰ぎ見る。
「俺な、明日の朝シャスティアとマレーネの戦場に偵察に行くんや。…自分一人くらいなら一緒に連れてけるけど、どうする？」
夜の冷えた空気が風と共に頬を撫でる。
ゾムの発言は正直突っ込みどころ満載だが、静かに話す様子は少なくともからかっているようには見えない。
ではどういった意図があるのか、落ち着いて一つずつ問いただす。
『どうする、とは？』
「そのままアステールまで送ったるわ」
『それはグルッペン様のご命令で？』
「んな訳ないやろ。むしろグル氏に限ってそれはあり得んな。どっちかって言うとまだAに居てほしそうやし」
『では何故独断でそのような申し出をして下さるのですか？』
「んー、何でやろな。何か帰りたそうな顔しとった気がしたから？」
読まれた。
と言うより顔に出ていたのか。
夜はどうしても日中の疲れが出るからか気が緩む。
首脳陣の三人をかわせばいいと思っていただけに少し油断したか。
『…帰りたい、と言うより自分の立場上戻らなければならない、の方が正しいですかね。この非常時に自国に居ないのはあまりよろしくないので』
「非常時やから保護されたんやろ。まあでも、Aだけならなんとかなりそうやけど、一緒に行くか？」
『…ありがたいお話ですが、部下を置いてはいけません。それにゾムさんが責任を問われますよ』
「あー、怒られんのは別に慣れてるからええんやけどな。そっか、でもそれならしょうがないな。わかった」
あっさり頷くゾムは窓枠に片足を掛ける。
去ろうとする背中を呼び止め声をかけた。
『お気遣いありがとうございます。気まぐれでも嬉しかったです。お気をつけて行ってらっしゃいませ』
「おん、まあ適当にやってくるわ」
『あと、次回ご用がある時は普通にドアからいらして下さいね』
初めからこれが目的だったのだろう。
そう含ませて言えば彼は一瞬固まった後歯を見せて楽しそうに笑った。
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はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます！ (2019年5月10日 23時) (
レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです！ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ！ (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…！？まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…！お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年5月24日 22時
