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案内されたのは会議室。
てっきり総統室へ連れて行かれると思っていたのだが、開かれた扉の中を見てすぐに納得した。
広いテーブルにそれぞれ幹部が勢揃いで腰掛けている。
その一角に座っていた金髪の男が、Aの姿を視界に捉えるとガタッと音を立てて立ち上がった。
「お、やっと来たなA!待っとったで!」
ニカッと笑って歓迎の意を述べるコネシマは相変わらず太陽のようだ。
彼が笑うとそれだけで室内の空気が明るくなる。
Aもすぐに笑顔で会釈するが、相手はトントンに宥められて渋々腰を下ろしていた。
「…ゴホン、さて、改めて紹介するまでもないな。ようこそ我々へ!我々一同はお前を心から歓迎しよう!」
一番奥に座っていたグルッぺンは一度咳払いして高らかに宣言する。
それに合わせて周りからもすぐに歓迎の言葉が上がった。
「もう僕、首を長ーくして待ってたんよ。仲良うしてな、Aちゃんっ」
「うわ、でた。大先生より俺と仲良くしよ!また一緒に城下行こうや!」
「シャオロン不人気すぎて忘れられてんちゃう?…あ、ちっすちっす、久しぶり」
「ごめんな、相変わらずうるさくて。でもAちゃんが来てくれて嬉しいめうー」
「ほんまになぁ。ああ、後で健康診断するからねー」
「てかお前らいっぺんに話しすぎ。Aにも喋らせてあげなよ」
「確かにその通りですね。彼女も困ってますよ」
「はいはい静かにー。さ、A、挨拶どうぞ!」
ロボロからよく通る声で促されると、Aは会議室が静まった頃合いを見計らって口を開いた。
『では改めまして、本日より総統付秘書官としてお世話になります、Aです。至らないところも多いかと思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます』
綺麗に礼をして締めくくると再びコネシマが笑い出す。
「いやー、大丈夫やろ!グル氏に勝つくらいやし、少なくともうちには大先生っていう無能がおるからそれに比べたら何も至らなくないで!」
「お?やっぱ子犬はよう吠えるのう」
「ああん!?誰がチワワや!」
大音量のコネシマの怒声に、机の反対側で言ってへんやろ!と叫ぶ鬱。
当然落とされたトントンの雷を他人事のように眺めていると、先程唯一拍手だけをしていた男と目が合った。
ストールを巻いた彼は静かに微笑む。
「やれること、見つかったか?」
『はい、おかげさまで。ありがとうございました』
軽く頭を下げれば飛び交う質問の嵐。
兄さんは答える気がないのかどれも適当にはぐらかしていた。
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はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます! (2019年5月10日 23時) (レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです!ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ! (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…!?まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…!お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:璃亜 | 作成日時:2017年5月24日 22時