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その日、オスマンは外交でアステールを訪れていた。
ずいぶん前に顔を合わせた元第二外交官、現第一外交官と近況報告程度の軽い会談をし、予定時間前に終わらせて城を出る。
門の先に見知った姿を確認したところで、後ろをついてきていた男が声をあげた。
「Aちゃん、久しぶり！迎えに来てくれたん？」
笑って駆け寄っていく鬱を横目で見ながら自分も口元には自然と笑みが浮かんだ。
第一外交官の彼はAに仕込まれただけあってとても誠実だったが、やはり彼女の顔を見た方がどことなく安心する。
『予めご連絡いただいてましたから。会談お疲れ様でした』
「アポなしで突撃する奴らとはちゃうからな。でも時間取ってくれてありがと」
『基本的に暇なので大丈夫ですよ。さて、どうしましょう。とりあえず場所を移したいのですが』
その言葉にオスマンは駄目元で一つの希望を伝えた。
昼間だというのに閑静なそこは国の管轄地なだけあって非常に整備されている。
三人しかいない空間で案内された石の前でオスマンと鬱は膝を折った。
既に花が供えられているそこに新しい花を置いて手を合わせる二人をAは後ろで静かに見守る。
しばしの時が流れ、緩く風が吹いたのを合図にオスマンはゆっくり立ち上がった。
「ありがとな、Aちゃん。手紙でしかやり取りしてへんかったけど、いっぺんちゃんと挨拶しときたかったから」
『いえ、大佐も喜ぶと思います』
「そうだとええなぁ。大先生もちゃんと挨拶した？」
「うん、でも接点ないからとりあえず自己紹介だけしといたわ。…この黄色の花、Aちゃん？」
『はい』
「そっか、二度手間になっちゃってごめんな。でもこの花綺麗やね、センスええわ」
緩く微笑む鬱にAもつられたように笑みを浮かべた。
『この後はどうされますか？もうお帰りに？』
霊園を後にしながら聞くAにオスマンは手元の紙袋を持ち上げて見せる。
「実はお土産持ってきてるんよ。いつも美味しいお菓子持ってきてもらってたから、お返しに」
『おや、わざわざありがとうございます』
「だからできたらこっそりお茶とかしたいなぁって…迷惑？」
『それは構いませんが、せっかくいらっしゃったのにこの国の店じゃなくてよろしいのですか？』
「大先生が店員ナンパするからダメ」
「せんよ。どうせならAちゃん口説きたいし」
「…ほんまクズやな」
「例えやん！」
二人のやり取りに小さく微笑むとAは自宅の方向へと歩き出した。
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はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます！ (2019年5月10日 23時) (
レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです！ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ！ (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…！？まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…！お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年5月24日 22時
