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国に帰れば可愛い奥さんが待っている、というのなら世の男性は仕事を頑張れるのだろう。
しかしAの場合帰ってきた時に待っているのは書類である。
その多くが外交に関するもの、もしくは大して関係のない雑用が混ざっていることもあるが、そんな小さな嫌がらせにはもう慣れてしまった。
部下の一人が申し訳なさそうに出迎えるのにも慣れてしまった、悲しい限りである。
Aの仕事が多いのにはいくつか理由がある。
まず現在外交官として付き合いのある国に関するものが回ってくる。
外交官同士のやり取りは勿論、締結した条約の纏めや同盟国のご機嫌伺い等、その範囲は多岐にわたる。
更に国によってはAを指名してくることもある。
貿易の内容や相手国の内情が直接入ってくる為ある意味おいしいが、やることが多すぎるというのが現状だ。
次に情報収集。
外交において情報は何にも勝る武器だ。
国民の様子、軍の振る舞い、力を入れている産業等、どんな些細な情報でも交渉のカードになる。
とは言え諜報員は回してもらえないので、自身と部下だけで調べるしかない。
だからこそ信頼できる部下を地道に育てている。
そして時折入ってくる嫌がらせ。
お前は外交担当だろう、つまり他国に関することの全てが仕事だ。
そう言わんばかりの書類がちらほら紛れていることが多々ある。
Aのことは認めたくないが、その実績とエーデル大佐の影もあってか表立って非難できる者は少ない。
その結果が無言の仕事の押し付けである。
そして本日も混ざっていたそれは部下によって机の端に置かれていた。
手に取った彼女がチラリと内容を読んでため息を吐く。
国境付近の森林伐採なんて自分じゃなくても良いだろうに。
どうしますか、と問いかけてきた補佐官にヒラヒラと片手を振って答える。
『近年の隣国の環境保護活動の盛んさと周囲の遮蔽物の観点からいきなりの国境付近の森林伐採は危険、中止を提案する書類を添付して整備担当に出そう。無理ならこっちでまず交渉するからその間に山から調達してもらって。ああ、サインは私が書く』
「了解です。いつもながら判断が早いですね」
『慣れよ慣れ。と言うかあの人達こっちに情報与えてることに気づいてないのかな』
「ああ…気づいてないんでしょうね」
『まあ余計なリスクは回避できるからいいけど』
補佐官に書類を手渡すとAはすぐに別の仕事に取り掛かる。
置かれたコーヒーに口を付け、いつものようにまたペンを走らせ始めた。
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ゆう - メンバー同士の掛け合いもリアルでテンポよく、話の構成もしっかりしていてとても読み応えがあり面白いです！言葉の選び方や設定まで凄く丁寧で尊敬します。小説として面白く、それでいて『リアル』を崩す事なく描かれていて凄いと思いました。 (2019年8月4日 23時) (
レス) id: 7c238edc15 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - もちえもんさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉、嬉しいです！書きやすい方と掴みきれていない方でどうしても差が出てしまうのですが、なるべくいろんな方と絡めるように頑張ります。 (2017年5月18日 2時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 恋愛一色ではないのにこんなに好きになった小説は初めてです。メンバーと仲良くなっていく過程が早すぎず、自然で素晴らしいです！キャラが掴めていて、言葉遣いが上手で尊敬します。今後とも楽しみにしておりますm(_ _)m (2017年5月17日 23時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 那月さん» コメントありがとうございます。読みやすいですか…！ありがとうございます！話の進みは遅いですがよかったら今後とも見ていただけると嬉しいです。更新も頑張ります！ (2017年5月16日 13時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
那月 - 夢主ちゃん苦労人ですね；´｀文面もきちんとしていてとても読みやすく、面白いです…!!昔ほど酷くないですが未だにやや男尊女卑の所があるのでそこも共感して読めます。これからどのように夢主ちゃんが戦っていくのかとても気になります。更新頑張ってください(*´-`) (2017年5月16日 3時) (レス) id: 329c4228b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年4月30日 2時
