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フンフンと軽快な鼻歌を歌いながら城内の廊下を歩くのは、先程までAと会談していたオスマン本人だった。
彼にしては珍しく馬車が見えなくなるまで見送ると、その軽い足取りのままとある部屋へ向かう。
一層豪華な装飾が施された大きめの扉をノックし、返事が聞こえたところですぐに扉を開け放った。
「グルッペーン、外交終わっためうー」
明るい声に呼ばれた室内の人物が顔を上げる。
大量の書類の乗った机に向かっていた彼は金髪の前髪を揺らして鋭い瞳を一度瞬かせるが、目の前のオスマンがニコニコと楽しそうに笑みを浮かべているのを見て手元の作業を中断させて向き直った。
「どうだった？」
「いやあおもろい子やったわー。あんなやりがいのある相手久々やった」
「ほう」
グルッペンの目がキラリと輝いた。
興味を示した相手に上がる口角を抑えることなくオスマンは続きを話し出す。
「もう全然主導権握らせてくれんの。でもそれが強引やのうてすっごい自然でなぁ。褒めても探り入れてもすぐ躱されてまうし、隙が無いんよ。俺が紅茶淹れたって言ったらちょっとびっくりしてたくらい」
「お前が我々以外に淹れてやるなんて珍しいな」
「まあな。で、結局ほとんどお茶会しとったんやけど、後半でさりげなく小さい提案出してきた時の流れは流石やったわ」
「何だその羨ましい外交。俺もお茶会したかった」
「そこやないで。でも聞き上手で話の引き出し持っとるし、気遣いもできる子やったな。あの子が他国に評判良いのわかるわぁ」
そう言いながらそのままAとの外交報告を簡単に述べるオスマン。
彼もグルッペンも以前から彼の国の外交官の評判は聞き及んでいた。
その上で珍しくオスマンがベタ褒めするのだから、興味を惹かれない訳がない。
先程言っていた小さな提案も話を聞く限りでは受け入れて良いと思われる内容だった。
一通り聞いた後でグルッペンはふむ、と一度思案する。
「オスマン、向こうは敵対する様子は無いんだな」
「今んとこはな。むしろ友好的な感じ」
「次の外交の日取りは決まっているのか？」
「おん、来月にまた来てくれることになっとる」
「そうか」
「…トントンに怒られるでー？」
自分から話を振っておいてなんだが、彼の言いたいことを察したオスマンが苦笑気味に忠告する。
しかしグルッペンはニヤリと人の悪い笑みを浮かべていた。
「俺が同席するのに何か問題が？」
問題しかないわ、と呟いたが当の本人には全く聞こえていないようだった。
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ゆう - メンバー同士の掛け合いもリアルでテンポよく、話の構成もしっかりしていてとても読み応えがあり面白いです！言葉の選び方や設定まで凄く丁寧で尊敬します。小説として面白く、それでいて『リアル』を崩す事なく描かれていて凄いと思いました。 (2019年8月4日 23時) (
レス) id: 7c238edc15 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - もちえもんさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉、嬉しいです！書きやすい方と掴みきれていない方でどうしても差が出てしまうのですが、なるべくいろんな方と絡めるように頑張ります。 (2017年5月18日 2時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 恋愛一色ではないのにこんなに好きになった小説は初めてです。メンバーと仲良くなっていく過程が早すぎず、自然で素晴らしいです！キャラが掴めていて、言葉遣いが上手で尊敬します。今後とも楽しみにしておりますm(_ _)m (2017年5月17日 23時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 那月さん» コメントありがとうございます。読みやすいですか…！ありがとうございます！話の進みは遅いですがよかったら今後とも見ていただけると嬉しいです。更新も頑張ります！ (2017年5月16日 13時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
那月 - 夢主ちゃん苦労人ですね；´｀文面もきちんとしていてとても読みやすく、面白いです…!!昔ほど酷くないですが未だにやや男尊女卑の所があるのでそこも共感して読めます。これからどのように夢主ちゃんが戦っていくのかとても気になります。更新頑張ってください(*´-`) (2017年5月16日 3時) (レス) id: 329c4228b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年4月30日 2時
