【wrwrd!】とある社畜外交官の憂鬱

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その日の午前中はエーデルに報告の手紙を出して終わった。
これが少しでも判断材料になればいいのだが。
部下とも顔を合わせたが、彼らは彼らで動いてくれているようでありがたい。
幹部にばかり絡まれているAに声を掛けにくいのもあるのだろう、その点は申し訳なく思う。


そして午後。
言われた時間に部下を一人連れて玄関ホールへ向かえば、そこには鬱とシャオロンが待っていた。
食堂の言い争いの結果はこうなったのか。
不機嫌な顔をしているであろうグルッペンが目に浮かぶ。

「A、俺も一緒に行くことになったから！」
「ごめんなぁデートできなくて。シャオちゃんが暇やったばっかりに…」
「いや向こうも部下連れとるしそもそもデートする気ないやん。あ、失礼なことしたら帰ってからトントンがシバくってさ」
「あれ、もしかしてシャオちゃん監視役…？」

相変わらずテンポの良い掛け合いをしている二人。
部下は少し押されているがAはもう慣れてしまった。
よろしくお願いしますと頭を下げるともっと楽にしてくれと頼まれた。






整然とした街並みを生き生きとした住人達が行き交う。
時々声を掛けられているのを見てやはりこの人達も幹部なんだと実感した。
欲しい物を問われるが、とりあえず必要なのは下着と替えのシャツとストッキングくらいか。
そう答えると鬱は何故か目を丸くする。

「え？そんだけでええん？何かもっとあるやろ？服とか靴とか鞄とか」
『昨日いただいた物とゲストルームにあった物で生活はできますし、ひとまず最低限の衣類があれば良いかと。いつ戻ることになるかわかりませんから、あまり荷物を増やすことはできません』

この不安定な国際情勢だ。
いろいろ良くしてもらってはいるが、正直立場的には帰れるならすぐにでも帰りたい。
しかし鬱は唸り出す。

「せっかくの美人さんやのに…何かもったいない…。グルちゃんに頼んだら何かワンピースとか、いや下手したらドレスくらい貰えるんちゃうかな…」
「お前話聞いとった？荷物になる言うてたやん。てかドレスとか大先生が見たいだけやろ」
「ようわかったな。でもせっかく羽伸ばせるのに仕事の為に我慢してる感じがこう、な？可哀想な気がして…」

気遣ってくれるのはありがたいが、別にA達は旅行に来ている訳ではない。
それよりも保護された身分でそんな土産を持ち帰る方が問題だと思う。
すると鬱につられて考え込んでいたシャオロンが何かを思いついたように顔を上げた。

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