【wrwrd!】とある社畜外交官の憂鬱

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どこからか鳥のさえずりが聞こえる。
ぼーっとしながら重い瞼を薄く開けると見慣れない天井がぼやけて映った。
ここはどこだ、と寝ぼけながら考えているAの顔にカーテンの隙間から差し込んでくる朝日。
眩しくて思わず目を閉じ布団を頭まで被る。
そのまま襲ってきた睡魔には抗うことができなかった。






「…、……、…A、」

何か聞こえる、誰かの気配がする。
少しずつ浮上してきた意識で聞こえたのは自分を呼ぶ声。
その低音に落ち着きすら覚えたが、身じろぎしながらもゆっくりと布団から頭を出す。

「お、起きたか？」
『………』
「まだか。…寝起きのお前はそんな感じなんだな。意外な一面だ」

この笑い方を知っている。
この楽しそうな声を知っている。
開くのを躊躇していた瞼を開ければ飛び込んできたのは金と黒。
覚えのある配色に一気にAの身体と意識が覚醒した。

『っ！？』
「おっと」

勢いよく上半身を起こせば少し離れる影。
やってしまった、やってしまった！
素早く手櫛で髪を押さえ、前屈でもするかのように大きく頭を下げる。

『お、おおおはようございます総統閣下…！お見苦しい所をお見せして申し訳ございません…！』

何故ここにグルッペンが居るのか。
そんな疑問は後回しだ、ひとまずやらかした、少なくとも寝坊した、どんどんと頭が冷えていく。
何も言わないグルッペンに恐る恐る目線だけ上げれば、彼は少しだけムッとした表情を浮かべていた。

「…グルッペンだ、A」
『グ、グルッペン様…？』
「そうだ。今総統閣下と呼んだぞ」

判定厳しいな！
寝起きにそんなことを注文しないでほしい。
と、いくらか冴えてきた頭でそこまで考えて再び疑問が湧き上がってくる。
何故ここに居る、というか今何時だ…？

『あの、グルッペン様…寝てしまっていて申し訳ございませんでした。何か御用でしたか…？』
「ああ、君が起きて来ないから少し心配になって様子を見に来た。昨日の今日だし寝かせてやろうということになったんだが、やはり気になってな」

やっぱりやらかした…！
いつもは眠りが浅くてすぐ目が覚めるのに、やはりあの二度寝がいけなかった。
最悪だ、土下座も辞さない。

『ご心配をおかけいたしました…』
「いや、構わない。ゆっくり休めたのなら良かった。珍しい反応も見れたしな」

クスクスと楽しそうに笑う彼は絵になっていて少しだけ腹が立つ。
しかしそれに言い返せる立場でないことは自分が一番よくわかっていた。

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