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他国で倒れたなんて知られたら何を言われるか。
仕事量のせいとはいえここぞとばかりに揚げ足をとられるに決まっている。
そのあたり補佐官は考えてくれたのだろう、感謝しかない。


「それとこれも伝えておこう。我々はシャスティアと組むつもりはない」
『…参戦要求には応じない、と?』
「そうだ。元々それほど親しかった訳でもないが、上層部が一新してからはほとんど交流もないからな。向こうは知らないがこちらが力を貸してやる義理はない」
『…それは、仮に我が国がマレーネと組んだとしてもですか』
「ああ、約束しよう」

自信満々に言うグルッペン。
トントンを見上げると彼も納得しているのか静かに頷く。


『…ではいくつか質問を』
「いくらでも聞こう」
『我が国への連絡はどなたが、誰宛へ行いましたか』
「オスマンと君の部下が共同で行った。宛先はエーデル大佐個人だ」
『結構です。保護していただけるということですが、私共三人の国内での安全も保証していただけるのでしょうか』
「もちろんだ。保護とは言ったが実際は客人として迎えるつもりでいる」
『もう一つ。私共は現在対価としてお渡しできるものを用意しておりません。また、我が国への要求も無意味ですのであなた方が得られるものはありませんが』
「構わない。我々は利益を目的としていない。強いて言うなら親交の深い君を未来の為にも見殺しにしたくなかっただけだ」
『…わかりました』

ふう、と息を吐き決意を固める。
そして止めるしんぺい神を無視してAはベッドから降りるとグルッペンとトントンへ静かに頭を下げた。

『不躾な質問、大変失礼いたしました。我々国の皆様の寛大なお心と処置に感謝いたします。滞在中何かとお世話になると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます』
「ああ、我々一同歓迎しよう」

さて、何日かはわからないがこの国に滞在が決まった。
まずは寝床を確保しなければならない。


『補佐官、至急宿の手配を』
「それには及ばない」
『グルッペン様?』
「城内のゲストルームを用意してある。もちろん君の部下の分もだ」
『…書記長殿?正気ですか?』
「まあこの人言い出したら聞かないんで…」
「…俺は客人として迎えると言ったはずだゾ。不満ならAだけ俺の部屋でも構わないが?」
「ちょっ、グルさん!!」
『ありがたくゲストルームをお借りさせていただきます』

ずいぶんな好待遇だ。
ここまでいくともう保護なのか歓迎なのか監視なのかわからないな。

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ゆう - メンバー同士の掛け合いもリアルでテンポよく、話の構成もしっかりしていてとても読み応えがあり面白いです!言葉の選び方や設定まで凄く丁寧で尊敬します。小説として面白く、それでいて『リアル』を崩す事なく描かれていて凄いと思いました。 (2019年8月4日 23時) (レス) id: 7c238edc15 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - もちえもんさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉、嬉しいです!書きやすい方と掴みきれていない方でどうしても差が出てしまうのですが、なるべくいろんな方と絡めるように頑張ります。 (2017年5月18日 2時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 恋愛一色ではないのにこんなに好きになった小説は初めてです。メンバーと仲良くなっていく過程が早すぎず、自然で素晴らしいです!キャラが掴めていて、言葉遣いが上手で尊敬します。今後とも楽しみにしておりますm(_ _)m (2017年5月17日 23時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 那月さん» コメントありがとうございます。読みやすいですか…!ありがとうございます!話の進みは遅いですがよかったら今後とも見ていただけると嬉しいです。更新も頑張ります! (2017年5月16日 13時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
那月 - 夢主ちゃん苦労人ですね;´`文面もきちんとしていてとても読みやすく、面白いです…!!昔ほど酷くないですが未だにやや男尊女卑の所があるのでそこも共感して読めます。これからどのように夢主ちゃんが戦っていくのかとても気になります。更新頑張ってください(*´-`) (2017年5月16日 3時) (レス) id: 329c4228b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:璃亜 | 作成日時:2017年4月30日 2時

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