32.横顔 ページ32
・
春先の風は柔らかく揺れてふわんと頬を撫でて行く。
何も喋らなくてもゆっくり過ぎて行く優しい時間が心地よくて
ただ座って２人で波音を聞いていたら
「探検、楽しかった？」
ゆっくりと私を見た有岡くんがふわりと笑って言う。
「うん！凄く楽しかったし明日も楽しみ！」
「そっか、それは良かった。」
凄く満足気ににこっと笑ってくれた有岡くんだけど・・・
よく考えたらほとんど初めまして、なのに付きあ合わせちゃって
申し訳なかったかなと今更ながらに思ってしまう。
「ん？どうした？」
思わず横顔を見つめたまま考え込んでたら
急に可愛い顔で振り向くから心臓がごっきゅんって変な音を立てた気分。
「あ、ううん。なんか、付き合わせちゃって申し訳なかったかなって・・・有岡くんは用事とかなかったの？大丈夫？」
ちょっとだけ慌てて視線を逸らしながら言ったら
「今日ニノさんと約束あるんだけど、ニノさんも呑気にハンバーグ食べてたからまだ大丈夫。
それに探検家にもなれたし何よりAちゃんと友達になれたしね。」
にこっと笑ってそう言う有岡くんはなんだかさっきよりぐっと男らしい気がして
今度はゆっくり心臓がどきんと音を立てる。
ねぇ。
人ってこんなに簡単に恋に堕ちるもの？
そんなの、小説の中だけの事だと思ってた。
「んん？どうした？大丈夫？」
柔らかく笑う有岡くんにやっぱりどきどきして
「うん・・・多分、大丈夫。」
そんな事しか言えない。
「多分って(笑)！つうかさ。」
「うん？」
「Aって呼んでもいい？なんかちゃん付けってむず痒くて。あ、ヤだったら気を付けるけど。」
「いや、大丈夫。うん。」
「そ？サンキュ！」
ふふんと笑った有岡くんはまた目を閉じて柔らかく吹く風に気持ち良さそうにしてるけど・・・
やっぱりこんなにドキドキしてるのは私だけなのかな？
出会ったばかりなのにその横顔に触れてみたいと思うなんて・・・
私どうかしてる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 408人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えこる(プロフ) - 鈴さん» 鈴さ〜ん♪こんな所まで読んで下さったんですね。ホントにありがとうございますm(_ _)m！ (2020年6月15日 23時) (
レス) id: 7530b26ba1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 御無沙汰してます、お久しぶりです。あれからずっと読んでました、シリーズ完結まで読んで、やっぱり好きだなぁと。何度も読み返してます。 (2020年6月14日 2時) (レス) id: d50b197e0a (このIDを非表示/違反報告)
えこる(プロフ) - ほっそんさん» ほっそんさん♪最後まで読んで下さってありがとうございましたm(_ _)m最後の『わん。』は、お利口で『待て』して下さってるのかな？？シェフ潤の相手が誰なのか…さっぱり見当つきませんがいつか何か浮かんだ時にはお付き合いお願いします(＾＾)v (2019年7月11日 11時) (レス) id: 010ac42581 (このIDを非表示/違反報告)
えこる(プロフ) - ともさん» ともさん♪最後までお付き合いありがとうございました〜！デキる兄さんたちに可愛がられながらもデキる男に成長（するであろう）有岡くんが書けて私も楽しかったです(＾＾) (2019年7月11日 11時) (レス) id: 010ac42581 (このIDを非表示/違反報告)
えこる(プロフ) - すみれさん» すみれちゃ〜ん♪有岡、意外にデキる子だったでしょ？可愛いだけじゃないんだな〜（ぐふふ）この間はあまり時間が無かったけどまた次回は有岡のアレやコレやも聞いてねww (2019年7月11日 11時) (レス) id: 010ac42581 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えこる
作成日時：2019年4月20日 7時
