先輩の彼女とのお話ver.2(i.f) ページ34
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夜の寂しい通りを目的の場所に向かって歩く。
少し前に降り出した雨はいよいよ本降りになってきた。
傘を持たずに濡れながら、この雨も味方してくれているんだと思った。
びしょ濡れで突然家を訪れた俺を、驚きながらもAさんは部屋に上げてくれた。
「タオル…、あ、でもシャワーの方がいいかな…」
「すいません、借りれたら助かります」
「あ、じゃあ…どうぞ、こっち」
洗面所には白と青、２本の歯ブラシにシェービングクリーム。
それから…。
「これバスタオルと着替え、あの人のなんだけど…」
「ありがとうございます」
Aさんが『あの人』と呼ぶ先輩の影があちこちにあった。
先輩とAさんと俺は、勤めている会社の同僚。
歳が上の二人は、新入社員の頃からそれぞれ良くしてくれていた。
そんな二人が付き合ってると知ったのはAさんを好きになった後だった。
たとえ好きになる前だったとしても、きっと同じことになってたと思うけれど。
当然気持ちを伝えることも出来ず、可愛い後輩でいるしかない。
時間がたてば少しずつ薄れて消えてしまうはずだった想い。
ある日Aさんに飲みに誘われて、そこで聞いたのは先輩の浮気。
同窓会で地元に帰った時に一回きり…、正直驚いた。 あの先輩が？って。
『…どうするんですか』
『うん…』
『許せる？』
『…許すとか…そんなんじゃなくて、…』
『…じゃなくて、なに？』
『なんか…あんまりショックじゃなかったんだよね…』
話を聞きながら酒も進み…その夜、酔いに任せて一線を越えてしまった。
「藤原くんの家に連れてって」と誘ったのはAさんの方で。
先輩への仄かな罪悪感もありながら、好きな人をこの腕に抱けるなら迷わなかった。
Aさんは忘れてほしいといったけど、忘れることなんてできない。
浮気されたことを打ち明ける相手に俺を選んだのはどうして？
寂しさや虚しさを埋めるためだけに俺を誘った訳じゃないよね？
本当に忘れてほしいとAさんが望んでいるのなら…でも、そうじゃないでしょう？
あの夜ふたりの間には、確かにお互いを求め合う何かがあったから。
だからそのすべてを無かったことになんて出来ないんだよ。
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ちょる(プロフ) - も。さん» はじめまして。たくさん褒めていただきこちらが嬉しくて叫び出しそうです…！ひとまずはもうひとつの作品の方を頑張りますね。感想頂きどうもありがとうございました！ (2020年6月7日 21時) (
レス) id: 7af395255e (このIDを非表示/違反報告)
も。(プロフ) - こんにちは！お話全て読ませて頂きました、どれも素敵なお話で胸がキュンキュンして叫び出しそうになりながら読みました……これからも更新頑張ってください！猫みたいな〜の作品の方も読ませて頂きます！ (2020年6月7日 17時) (レス) id: db66c21382 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちょる | 作成日時：2020年3月1日 21時
