Fischer's 短編 2。 (ページ49)

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そして、催眠術師の方が指をパチンっと鳴らして
掴んでいた肩をぐらりと揺らすと

そのままAの身体はぐったりと前に倒れ
動かない。

シルク
「え、すげー！
これは今、かかってる状態なんですか？」

催眠術師
「そうですね、今はグッスリ眠っている状態です。」

ンダホ
「ほんとにかかりやすいんだねー。」

モトキがAの背中をさすりながら顔をこっそり
覗き見してみる。

モトキ
「うん、ほんとに寝てるー。
寝顔こういう感じだもん。」

周りが感嘆の声を上げていると、

催眠術師
「このまま、最後にかけるものに移りますね…。」

と言うとまた彼女の近くに寄り、片手を肩に置く。

催眠術師
「貴方は…、シルクさんに触るだけ、
抱きしめるだけで安心できます。」

三人がえ、と声に出しシルクが吹き出す。

催眠術師
「3、2、1…はい！」

パチンと指を鳴らすとゆっくりAが目が覚めて体を起こす。

催眠術師の方がほら、と言ってシルクの方に手を向ける。

Aは少しぼーっとしていたが、シルクを見た
途端、顔を赤くして目を逸らす。

Aの明らかに違う態度に三人がざわめいていると

催眠術師の方がシルクにAの横に行くように促し横に座った。

Aが横に座ったシルクをちらっと見つめ照れている。

シルクはそんなAの様子を戸惑いながらも楽しんで見つめる。

催眠術師
「貴方はどうしてもシルクさんを抱きしめたくなる。」

と畳み掛けるように何度も言い指を鳴らす。

すると、顔を背けたままAがシルクの手に触れた。

シルク
「あはははは！
え、めっちゃ可愛い。」

ンダホとモトキは二人の姿を見て内心少し不満だが見ていると面白い。

催眠術師
「えっと、シルクさんに一つお願いがあるんですけど、

おいでってしてもらえますか？」

シルクが笑いながら分かりました、と言って

シルク
「A、おいで。」

と両手を広げるが、Aは依然として顔を逸らしたまま首を横に振る。

すると、催眠術師がまたAに何か声を掛けようとしたら

シルクが浅くため息をついて

シルク
「俺がAを抱きしめたくなっちゃいましたー。」

と言うとAがゆっくりこっちを振り向いて

A
『しょうがないですね…。』

と彼女がぎゅっと抱きしめる。

素直になってくれねーのが少し残念だけど、
そこも可愛い。