Fischer's 短編 2。 (ページ48)

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シルク
「ふふ…、A。
ゆっくーり離してみて？」

シルクくんに言われた通り、指に力を込めて離そうとするが、ピクリとも動かない。

シルク
「あはははは！ほら、やっぱりかかってる！」

ンダホ
「あはははは！すげー！」

モトキ
「ほんとに力込めてる？離れないの？」

Aがモトキの質問にコクコクと頷く。

A
『全力でしてます！』

指に精一杯力を入れてるので、プルプルと指先が
震えている。

A
『剥がれない…です。』

不安そうな顔で催眠術師の方を見つめる。

催眠術師
「大丈夫ですよ、そんなに不安そうな表情をせずとも…。

今、外しますね。」

はいっ！と声を掛けると同時に背中を軽く叩く。

催眠術師
「離してみてください。」

ゆっくり手を離そうとすると、
そのまま手は離れた。

A
『あー…良かったです！離れたー！』

Aが安堵の顔を浮かべ、喜ぶ。
三人も彼女と同じような表情を見せる。

催眠術師
「これで分かっちゃいましたね、
この中で誰が一番かかりやすいのか。」

私の方を皆が見るので、思わず視線を逸らす。

シルク
「あはははは！
そうですねー、Aが一番かかりやすいみたいです。」

催眠術師
「じゃあ、この後はかかりやすいAさん中心にかけていきますけど…

よろしいでしょうか？」

Aがあからさまに不安そうな表情をするが、三人は笑顔で言う。

「お願いしまーす！」

ンダホくんの裏切り者ー！とAの嘆きの声が
響いた。

催眠術師
「えっとそれでは次に、
深い眠りに一瞬で陥るものをかけたいと思います。」

シルク
「おぉー！これかかったら凄いなー。」

ンダホ
「ねー！一瞬で、って凄いよね。」

A
『お二人は楽しいかもしれないですけどー…体験する側としては少し怖いですよー…。』

Aが二人をじとー、と見つめていると
モトキが後ろから彼女の背中を優しくさする。

モトキ
「大丈夫？
俺、側にいるからね。」

モトキくんの優しさに救われていると

催眠術師
「深く眠りにつく、つまり睡眠状態に入るって事ですから…

安心してくださいね。」

さらに、後押しされ
椅子に座りグッスリ催眠術を準備をする。

催眠術師の方がAの前に立ち、片手を肩に置いた。

催眠術師
「私の目をじーっと見て下さい。」

Aが目線を外さずに催眠術師の方をじっと見つめる。