フェイクラバーズ…Yuri.C (ページ42)

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侑李「…どこの恋人だって、そんなもんじゃないの。」

A「え？」

侑李「最初っからお互いに好きで付き合い始めた恋人なんて、多くもないと思うけど。」

一方が好きで、もう一方も好きだったから付き合い始める、という恋人たちも、確かにいるだろう。

だけど、相手の情に押されてだったり、
相手と言うよりも恋に恋をしてだったり、
恋人を作る周りに流されていたり、
失恋を忘れたかったり、

独り身でいるのが嫌でという理由だったり、

そんなものだよ。

そう、侑李は言った。

侑李「ほら。僕たちだって、別に変わらない。」

失恋を忘れたい。

独りでいるのが、嫌だ。

正にそれは、私たち双方にあった考え。

侑李「一方だけが別の相手を想ってるなら変だけど、僕たちはお互いに別の相手がいる。

利害が一致してる分、変に気兼ねしなくていいわけだし、」

彼の言っていることは間違っていないはずだ。

あまりに論理的な物言いに、
それが正答である気さえしてしまう。

侑李「お互いに対して必死になる必要がないから、やりやすいし楽だし、」

非道なことを言っているかもしれない。

だけど、その口調は決して悪びれている様子でも、後ろめたい様子でもなかったので、

不思議と腹が立ったり侑李という人間に幻滅したりすることはなかった。

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