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いつもなら、
こんなとき声を掛けたりはしない。
だけど、今回ばかりは声を掛けてみて、
彼を怒らせてみてもいいかもしれない。
兼ねてから理想の彼氏でありすぎる侑李を、
私は真剣に見つめた。
A「ねえ、侑李。」
侑李「…何。」
A「侑李は…虚しい、とか思わない？」
侑李「何に。」
A「好きでもない私と、恋人なんてやってて。」
ぶつけた質問は、
前々から気になっていたこと。
私は何度か考えたことがある。
大貴のことが好きで、
本当のところは大貴とこうして居たいのに。
どうして侑李とこうして居るのだろう、なんて。
好きでもないのに一緒にいて、恋人としての営みを何一つしない、というこの関係は、侑李にとって虚しいことではないのだろうか。
侑李「何、Aは虚しいの？」
A「虚しいって言うか、なんて言うか…、」
私から言い出したことではあるけれど、侑李がもう少し私のことをおざなりにしていたなら、こんなに気にすることもなかっただろう。
こうも熱心、というか、堅実に彼氏を務めてくれる侑李の恋人っぷりは、なんだか少し申し訳ない気がしていた。
好きでもない相手に、
よくそこまで出来るものだ、と。
余計に彼の心中が気になった。
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作者名：環
| 作成日時：2018年11月3日 16時
