フェイクラバーズ…Yuri.C (ページ31)

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なんとまあ、
利己的な考えだと思いたければ思えばいい。

そんなわけで、私は小さな罪悪感以上に、

隣にいるのがアイドル並の人気を誇る人物だということに優越感すら抱いていた。

そう、それが本当に好きな相手でなくても。

私には侑李以外の想い人がいることは確かで、
侑李にも私以外の想い人がいることも確かだった。

侑李「A、」

A「何？」

そうして侑李に名前を呼ばれて初めて、先刻、店長の前で侑李が一度も私の名前を呼ばなかったことに気付く。

だから何ってことはないけれど、
なんとなくその気持ちは分かるような気がする。

私だって、侑李と付き合い始めてから大貴と真っ直ぐに目を合わせることは気まずかったから。

尤も、大貴に彼女が出来た辺りから、既に5秒以上は目を合わせることが出来なくなっていたけれど。

侑李「これあげるよ。」

A「え？」

侑李「引退記念。」

私の名前を呼んで振り返った侑李が告げた一言は予想外のものだった。

投げ渡されたそれを不器用ながらにキャッチして、手の中のものを見れば店の従業員が全員つけているバッジ。

いわゆる、社章みたいなもの。

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