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緩んだ心は彷徨うことなく、
行きたい方向へ転がっていく。
一歩歩き出して、あいつの前まで行くと直ぐに腕を掴まれ、引っ張られるようにして伊野尾君から離れていった。
なんでだろう、
急に泣けてくるのは。
この腕の力だろうか。
それとも、
不安からだろうか。
どんどん歩いて、
学校まで来て、
グラウンドの果てまで来た。
日が暮れた照明のないグラウンドは暗くて、
サッカーゴールも、時折歩いていく人も、
どんどん飲み込んで何も見えなくなっていく。
涼介「え、は？なんで泣いてんだよ。」
A「わ、わかんない……。」
涼介「つーかなんでいつもあいつといんだよ、おまえはよ。ほんといちいちムカつくわ。」
A「…なんでよ、そんな怒んないでよ……。」
涼介「……おまえに怒ってるわけじゃねーよ。」
行き着いた先で、
きつく掴んでた腕は解き放たれる。
暗闇の中に放り出されるようで、
離して欲しくなかった。
だけど、そんなこと言えなくて、
自分を保つために必死に涙を押さえつける。
暗がりの中で声を抑えて涙を飲み込んで、
だけど止まらない涙に、
涼介はあーもう、と溜息を吐いた。
私が口を押さえ込んでる手を引っ張って、静かに見下ろした。
.
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月16日 19時
