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伊野尾君は自宅に帰されたようだったけど、
あいつは大会前で、熱が上がるグラウンドの周りをただひたすら走っていたのを見かけた。
どうやら二人が和解(？)していることから部活停止や、大会への影響はないとされたようだったけど、
練習には混ざれていないあいつはきっと、
試合にも出れなかったのだろう。
高校最初の大きな大会だったのに。
薮君と二人、
頑張って掴んだチャンスだったのに。
本当に、あいつは、バカだ。
「………なに、してるのかなぁ」
夏休みが長くて、
一日一日過ぎ去るのが遅かった。
何も話せないまま引き離されて、
あいつが何を考えているのか、
私の想いがどこへ向かうのか、
全部が中途半端に揺らぐばかりで、
もどかしい毎日だった。
あいつのことを考えすぎて、
でも、分からないことばかり。
考えることも想うことも嫌になって、
もう嫌だ、もうやめよう、と何度も思って、
それでもまた繰り返して、
私は馬鹿みたいに一人で、
ただ思い悩むだけの苦しい夏休みを過ごしていた。
くるしくて、
もどかしくて、
いらいらして、
ないて。
結局、明くる日にはあいつを想って。
そうやって過ごしてきた毎日が、
今になってようやく。
夏休みも1ヶ月が経った頃、ようやく。
あまりに突然に簡単に、出口を見つけた。
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作者名：環
| 作成日時：2018年7月16日 19時
