メルトサマー②…Ryosuke.Y... (ページ21)

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「A、お兄ちゃんのお弁当届けて来てー、」

「えー…。」

「忘れて部活行っちゃったのよ、学校行けるでしょ？お昼になる前に早く行ってあげて。
ついでに帰りに買い物してきてー」

「ええー………。」

「えーじゃないの、あんた遊んでるだけでしょ。
もう高校生なんだからアルバイトでもすればいいのに。高校からは自由なんでしょ？今からでも探せば？」

「んー………。」

朝から息継ぎもない母の台詞に耳が勝手に閉まる。

それでも母に急かされて、重い体は嫌々ながらも一日を始めようと動き出した。

夏の暑さを実感するや否や唐突に始まった夏休みは、気が付けばもう1ヶ月が過ぎていた。

気分的にはもう、半年くらいが経った気がする。

高校から解禁になったアルバイトを探す隙もなく夏休みに入った為、
それはそれは自由な日を繰り返している。

中学生だった去年は何も言われなかったのに、
高校になった途端、母は私に労働を勧めてくる。

この家で私が一番金食い虫なのは分かっていることだけど、娘に積極的に職探しをさせるほど我が家は財政難なのだろうか。

お風呂に入って汗を流し、ごはんを食べて荷物を持たされると勢い良く母に家から見送られた。

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