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A「っ!!いった…………、」
そう視線を上げ口を開いたとき、
私の視界に入ってきたものは
もう見ないと決めた顔ではなく、
怒りを込めた瞳でもなく、
揺れる長い睫だった。
いや、睫すらも殆ど見えていない。
一番はっきりと見えていたのは、
あいつの茶色い髪先の向こう側の、
長く長く続いている廊下。
A「………?!」
後頭部と、髪まで掴まれて、
その行為の意味を掻き消すほどに苦しい。
それがキスだと理解するまでに
私の脳は果てしない遠回りをしていた。
それと理解しても、
どうして今こうなっているのか、
なぜ目の前にこいつがいるのか、
私の頭は何一つ理解できないまま、ただ踠くようにあいつの腕の中から出ようとしていた。
A「っ………ちょ、………、」
涼介「………………、」
A「やだ、………りょ、すけ、」
その体を押し離そうとしようが叩こうが、
ただ押し付けるばかりのあいつの口は離れずにそれだけを続けた。
何を思ってか分からない。
何も考えていないかもしれない。
ただ不躾にあいつは少しの隙間も時間も与えず、
私の絞り出す声ごと食むように口を押し付け続けた。
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作者名:環 | 作成日時:2018年7月16日 19時