私の推しは久々知兵助くんだが、今告白されてるのは竹谷八左ヱ門くんで…あれ〜？陸っ！

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なるほど…しんべヱくんは自分が食べたい気持ちはもちろんあるけれど、それよりも兵助くんとの約束を破ることの方に抵抗しているのだと見た
本当にちょっとお馬鹿さんで可愛い後輩だ
そんなの私たち先輩がそれくらいで怒るわけないのに

そうと決まれば、それを助けるのも先輩の役目
私がうまく立ち回るほかない


「しんべヱくん
兵助くんのところには私が行くことにするから
今はお腹痛いの治して来よう？ね？」



彼と視線を合わすために膝を曲げれば
しんべヱくんの不安そうな顔がよく見える




「でも…久々知先輩との約束…破っちゃったら
次、お豆腐食べさせてくれないかも…」

「そんなことないよ
元気なしんべヱくんが今日の分もいっぱい食べてくれると思ったら兵助くんも喜ぶよ
さぁ、行っておいで大丈夫だから」


そんな不安そうな顔を少しでも和らげたくて
そっと頭を撫でてみる
そうすると目をつぶって口角を上げてにこやかな笑みを浮かべてくれるしんべヱくん





「…わかりました！」

「よし、先輩ありがとうございます！行こうぜ！
乱太郎！」

「うん！A先輩本当にありがとうございます〜！久々知先輩によろしくお伝えください！」

「気をつけてね」

「「「は〜い！」」」



嵐のように去っていった三人の背が見えなくなるまで手を振って
その手を下ろした瞬間に「さて…行きますか…」と独り言を呟いて、私も行くべき場所へと向かう



豆腐を準備しているとなると
もはや彼の陣地とも言える豆腐小屋だろうか…？

でも、準備のいい彼のことだから…
と思考を巡らせた結果
最初はまず食堂へと向かうことにし、その足を進める






「あ、いた」





食堂の勝手口から入れば、豆腐小屋からちょうど自作のお豆腐を持ってきたであろう
たくましく男の子らしい腕を腕まくりして曝け出している兵助くんがなんといるではないですか

はっ…！！ダメダメ！！オタクな私は黙ってて！！
となんとか本人を前に『すき…推せる…』と言いそうになるのを言葉になる前に噛み砕いて平然を装う


そして、そんな私に気づきもしない
兵助くんは突然来訪してきた私の姿を見て驚く




「…？Aか？
食堂のおばちゃんなら今買い出し中だけど」

「ううん違うの
兵助くんに用があって」

「俺に？どうした？」

「実は…」

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