私の推しは久々知兵助くんだが、今告白されてるのは竹谷八左ヱ門くんで…あれ〜？肆っ！【RKRN】

35 ページ35

「さ、三郎次！？！」


後輩が行った自分の同級生に対する急な告白に久々知は驚き慌てふためく
久々知はあくまで三郎次はAに後輩として懐いていると思っていたのだがこの言葉ではっきりと自覚した


『三郎次がAに恋をしていることを！』


「(まさか三郎次がAを…！？えぇ…！？)」


ただでさえこういう話に疎く困惑している久々知と疎ましそうな視線を三郎次に向けている伊賀崎のことになんか目もくれず
Aの腕に回した手の力をさらに強くする


「嫌なんです！
誰であっても先輩が男の人の側にいるのは！！
僕だけでいいじゃないですか！！」


下級生の恐ろしいところがあるとしたら
好意も独占欲ですら
躊躇なく言葉にして本人に伝えてしまうことだ


これにはAもなんとか返答せねばと
思考を巡らせて、なんとか三郎次を言い包めようとする

「さ…三郎次くん…あのね…」

しかし、Aは言おうとしていた言葉を忘れるほど視線を奪われるものがあった
　


「一緒にいてください…先輩…好きなんです…」



くちびるを震わせうるうると今にも泣きそうな目で
こちらを見上げている三郎次だ



「…か！？かわ…！？」


『可愛い！！！！』



可愛い後輩である三郎次の攻撃は後輩にとことん甘いAに効果抜群だった
となるともうAに残った
選択肢はただ一つ


出来るだけ多く！！三郎次が当番の日に通うこと！！


「三郎次くん…ずっとというわけにはいかないですけど…
なるべく三郎次くんが当番の日に来るようにしますね？」

「…！約束ですよ！」

「はい…！約束です…！」


Aは三郎次の視線に合わせて屈んでそう伝えれば
三郎次はみるみると明るい顔になっていく
そうして二人は小指を絡ませて約束をする

その光景を久々知は微笑ましく見守っていた
そして、満足した三郎次が伊賀崎に喧嘩をふっかけて口論している間にAに対してもフォローを入れる


「悪いなA…三郎次がワガママ言って…」

「良いんです理由は私にもあるので」

「さすが後輩に甘いと噂のAさん…だな？」

「もう兵助くんってば…」


でも、Aは三郎次のおかげでこうして久々知と話せることが幸せでたまらないこと
絶対に三郎次にも誰にも言えないなと罪悪感でいっぱいになったことは誰にも言えない秘密


そんな秘密を抱えたまま
久々知とAは伊賀崎と三郎次の口論を眺めていた


そこへ


「いたいた！お〜い！」

36→←34

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す