06:敵味方 ページ8
出水「うわ、珍しいな」
そう言って帰ってきた出水は少し顔を引攣らせている。まぁ、私と三輪は仲が良くないから仕方のないこと。
しかし、三輪は気にしてはいない様子で、目をつぶって壁に寄りかかっている。
出水「何してんだ?」
「書類書いてんの。今日までらしくて…。太刀川さんは?」
出水「あー、風間さん達と模擬戦してる。まだ帰って来ねぇだろうな」
出水は気まずそうにしたながら、「じゃ、俺は帰るわ」と言ってカバンを持って出て行った。…逃げやがった。
「…三輪、書けた」
出水が立ち去ってから三十分くらいして、書き上がった。その間、三輪は入り口付近から微動だにしない。が、私がそう声をかけると、ゆっくり瞼を開けた。
目が、一瞬だけ、ピッタリ合う。私はスッと目をそらす。
書類を「ん」と言って差し出す。三輪は黙って受け取って、目を通す。
カチ、カチと時計の音のみが響く。…気まずい。
三輪「…遠征行くんだろ」
「うん、仕事だし」
まともに会話をしたのはいつぶりだろうか。やっぱり、三輪と話す時は、凄く、緊張する。
三輪「お前は、近界民に味方するのか」
「…はぁ?。何で?」
…いや、ね。これから遠征に行って、近界民を殺しに行くってヤツにそういうこと聞く?。
三輪「お前は近界民の恐ろしさを知らない」
「…そう、だね」
三輪「いつか後悔するだろう」
「後悔、ね。それは十分にしたよ」
三輪「何をだ」
「…帰る」
三輪の問いには答えず、急いで隊室を出て行く。鼓動が速まる。三輪と話すと、調子が狂う。いつもそうだ。あの日からずっと。
「面倒ごとは嫌いなんだけどな」
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ゆう - 続き気になるー!本当に面白いです!できれば更新していただきたい。 (3月17日 19時) (レス) @page29 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - ここで終わるのはもったいない…続き、気長に待ってますから (8月11日 14時) (レス) @page29 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Doll(プロフ) - 嫌だ! (2018年12月21日 14時) (レス) id: 637c8a3b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋イノラ猫 | 作成日時:2018年9月2日 0時