27:微笑み ページ28
二限目が終わり、いつものように同じ部隊の西野Aを迎えに隣のクラスに向かう。休み時間ということもあり、少し騒がしい。
教室の扉から少しだけ顔を覗かせ、Aを探す。相変わらず一人で窓の外を眺めていた。はぁと、溜息をつき近付く。
「おい。行くぞ」と、声をかける。ゆっくりと、俺の方を向き、「あぁ、うん」と返事をするA。カバンを持って立ち上がり、教室を出て行く。
俺は何となく窓の外を見る。そこには三輪のクラスが体育の準備をしていた。もちろん、三輪の姿もあった。
出水「まさか、な」
あの犬猿の仲のような、水と油のようなアイツらにそんなことはないと言い聞かせ、Aの後を追った。
「…どうした?」
出水「いや、ちょっと話を…」
「ふーん」
興味無さげな隣を歩くA。顔色は良く、クマも無い。先日、無理矢理仮眠室に放り込んだの良かったのだろうか。
俺が見ていたことに気が付いたのか、Aと目があった。「なに」と、身長の関係で上目遣いのAに一瞬、ドキッとしてしまう。
「なんか、付いてる?」
出水「いや、顔色良いから」
「あー。少しは寝た、から」
と、少し恥ずかしそうに顔を背けた。これは、何かあったな、と俺の直感がそう言っている。
太刀川さんのしたことは許せねぇけどあの人がしたことは正しかったのか。
あの日、太刀川さんは柚宇さんにAのベイルアウト機能を停止するように言っていたらしい。
そして、任務が終わる数分前にAを斬って生身に戻ったA仮眠室に放り込んだと、隊室に戻って来た太刀川さんに聞かされた。
出水「お前、なんかあった?」
「……。別に何も」
俺の見間違いかもしれないし、夕日の所為かもしれないが、Aの頬は少し紅く染まった。
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ゆう - 続き気になるー!本当に面白いです!できれば更新していただきたい。 (3月17日 19時) (レス) @page29 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - ここで終わるのはもったいない…続き、気長に待ってますから (8月11日 14時) (レス) @page29 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Doll(プロフ) - 嫌だ! (2018年12月21日 14時) (レス) id: 637c8a3b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋イノラ猫 | 作成日時:2018年9月2日 0時