25:語り部 ページ26
「秀次が、死ぬ夢を見た」
そう言うと、秀次は「子供か」と笑う。けど、笑っていられるのも今だけだ。私は、重い口を開けた。
「私ね、サイドエフェクト持っていて、予知夢なの」
秀次の動きが止まった。いきなりの告白で、更に自分が死ぬと告げられたのだからしょうがない。それに私が嘘をついていないと、彼にもわかっているだろう。
三輪「…本当か」
「うん。先に謝るね、ごめんなさい。本当にごめんなさい」
簡易ベッドの上で深々と土下座をする。話を進めようとして、一度口を開いたが、彼の答えを待とうと、口と閉ざした。頭を下げたままいると、「謝らなくて良い。お前は悪くないだろ。頭を上げてくれ」と、秀次が言った。
「…お姉さん殺したの、私なんだよ」
頭を上げて、秀次の目を見て告げる。目から涙が溢れていくのがわかる。止めたくても、止まることなく流れる。
今度は秀次の反応なんて関係無く、ただ自分の罪から逃れたくて、許して欲しくて、語る。そう、自分の為に。
「四年前も秀次が死ぬ夢を見た。初めは何が何だかわからなかった。
何度も見るうちに、少しずつ、ほんの少しだけ夢が変わっているのに気が付いた。
だから、だから私は。
…変えようとした。それが過ちだった。
あの日、秀次の代わりに誰かが横たわっている夢を見たの。誰なのかまでは分からなかったけど、
でも、それがお姉さんだったと知ったのはあの光景を目の当たりにした時」
私は、こう言って話を括った。
「私が全て悪いの」
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ゆう - 続き気になるー!本当に面白いです!できれば更新していただきたい。 (3月17日 19時) (レス) @page29 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - ここで終わるのはもったいない…続き、気長に待ってますから (8月11日 14時) (レス) @page29 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Doll(プロフ) - 嫌だ! (2018年12月21日 14時) (レス) id: 637c8a3b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋イノラ猫 | 作成日時:2018年9月2日 0時