22:精神錯乱 ページ23
「…寝るから、もし良かったら、近くにいて、一人になりたくないから」
そう言って、眠りについた目の前にいる女。コイツは何を考えているのかわからない奴だ。そして、俺の幼馴染と言える存在である。
苦しそうに眠るソイツに付き添っている俺自身も何を考えているのだろうか。裏切り者の迅などと仲良くする奴であると言うのに。
「…なんで」
三輪「は?」
弱々しく放たれた言葉に反応するが、寝言だと気付く、溜息を吐いた。ベッドに横たわる西野は魘されていた。苦しそうに顔を歪めている。
何もかも、「面倒臭い」と言って楽な方へ、楽な方へと生きる人生のコイツが苦しむこともあるのか。
「…秀次」
また、寝言か。そう思いながら、コイツが起きるのを待つ。陽介から「どこにいんの?」と、連絡が来ているが、無視して、ここにいる。目を瞑り、身体の力を少し抜く。
秀次。久しぶりに呼ばれた。姉さんが亡くなるまで、ずっとそう呼ばれていたことを思い出した。
──「秀次!遊びに行こ!」
明るくて、笑顔が溢れていた当時の彼女。それがだんだん笑わなくなって…。
「嫌!」
大声をあげたと思えば、混乱している西野。「どうした?」と、声をかけると、彼女は「え」と、固まり、俺を見ると、
「秀次っ!」
と、抱きついてきた。戸惑うが、コイツが少し震えていて、力強く俺を抱き締めるので、無下に出来ず、頭を遠慮がちに撫でた。
「…あれ?夢?」
三輪「悪いな、現実だ」
「え、うわっ」
と、勢い良く俺を押し退けた。顔を赤くして、まわまわと口を開けて、パニックを起こしている。その姿があまりにもおかしくて、俺はわらってしまった。
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ゆう - 続き気になるー!本当に面白いです!できれば更新していただきたい。 (3月17日 19時) (レス) @page29 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - ここで終わるのはもったいない…続き、気長に待ってますから (8月11日 14時) (レス) @page29 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Doll(プロフ) - 嫌だ! (2018年12月21日 14時) (レス) id: 637c8a3b3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋イノラ猫 | 作成日時:2018年9月2日 0時