泣き虫な王様 ページ5
広い公園にポツンと大きな木があった
その根元には1人の少年が涙を流して座り込んでいる
小脇にはラケットを抱えていた
｢ひっ、っく、ふぇ…｣
目を擦りながらラケットを抱えている腕を強くする
"こいつ日本人だぜ！"
"お前のテニスは見え透いてんだよ！バーカ！"
｢そんなの、僕だって、分かって…っ｣
そう言いまた顔を埋めてしまう
グズグズと泣く男の子の前にふわりと風が通った
どこから運んできたのかその風からは優しい匂いがする
ハッとなった彼は顔を上げると、待ってましたと言わんばかりに強い風が吹いた。思わず目を瞑ったその時、ポンっと頭に手を置かれた
｢なぁに泣いてるの｣
｢え…｣
目を開けると目の前には白色のワンピースに白色の髪を靡かせている女性がしゃがんで自分の頭を撫でていた。全身が真っ白な中で唯一目の色の黄色が目立っている
きれいな人…いつの間に居たんだろう？
｢あぁそんなに擦って、顔真っ赤…って傷だらけじゃん！？ちょ、ちょっと待ってて｣
｢え、ぁ…｣
男の子は何も言えないまま、どこかへ行ってしまった
少しするとすぐ戻ってくるが手にはハンカチが握られていた
｢お待たせ。ちょっとごめんねー｣
｢っ！｣
女性が頬に当ててきたハンカチは濡れていて冷たい
その冷たさがよくてそのまま目を瞑った
しばらくして落ち着いたのか男の子が口を開く
｢なんで、日本人はダメなの？｣
思っていたよりもとんでもない言葉が飛んできた
｢誰かに言われたの？｣
｢お前は日本人だから、小さくて弱いから。どんだけやっても勝てないって｣
また思い出したのかうるうると涙が溜まっていた
そんな男の子を見てAは隣に座る
｢私はそう思わないな。君は…テニスをしていたのかな？｣
コクリと小さく頷く
｢テニスは…というかスポーツでは立場は同じだよ。どんだけ偉くても、どんだけ背が高くても試合中は同じ土俵で戦うんだから。その子達が言う日本人だから勝てない、ってのはおかしいんじゃないかな？｣
｢じゃあただ僕が弱いだけ？｣
｢うん、そうなるね｣
ストレートに返した。今の彼には遠回しに言われるより直球の方が届く気がしたからだ
……だが、その読みは外れたらしく少年の目にもっと涙が溜まる
｢うぅ…僕が、弱いから…弱い…ふぇーん！｣
遂にはボロボロと泣き出してしまった
彼が泣くのも無理はない。小さな子供が決定的な否定を言われたのだ。メンタルにも来るものがある
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雲雀 - まいさんへ俺は亀更新でも楽しみに待っています。なのでゆっくりでもいいので更新楽しみに待っています。 (2021年9月30日 19時) (
レス) @page29 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 雲雀さん» コメントありがとうございます！亀更新ですがよろしくお願いします。 (2021年9月27日 12時) (レス) id: ed3b470f19 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 面白かったです。これからの更新頑張ってください！楽しみにして待っています。 (2021年9月25日 15時) (レス) @page32 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まい | 作成日時：2021年5月3日 14時
