2話 ページ33
Aが名前を呼ぶ
カノジョが彼女であることを表すのには明確だった
「人の気持ちを勝手に決めないで。私はただ何もせず、日々を過ごしている君に活入れをしに来ただけ
…むしろ、寂しかったのは君のほうなんじゃないの?」
大和はビクリと肩を揺らした
「っ…そうですよ。貴方がいない毎日はとても冷たかった。太陽のように照らしてくれる笑顔が見れない日々は辛かった。貴方は、っ寂しくないんですか!」
「寂しいよ、君がちゃんと自分に向き合わないことが」
「……!」
「ねえ、今だけを考えてるのはいい事?確かにそれは凄く楽だと思う。でもね後々それは後悔に変わるんだよ。君の未来には選択肢が沢山あるんだ。だけど今君がしていることはそれを自ら消していることだって、いい加減気づけよ!」
バッと強い風が部屋に入り、カーテンの奥が見えた。そこには涙を流したAが立っている
何故彼女が白いのか、何故彼女は涙を拭かないのかは分からない。だが、唯一大和が分かることは自分にその涙を拭う資格はないということだけだった
「苦しみから逃げて、逃げて…最終的にこんなはずじゃなかった。なんて言う人を私は沢山見てきた。そんな結果に貴方はなってほしくないの。君の苦しみはどんだけ辛いとか私には想像できない。でもね、これは私でも分かること。君が持っている苦しみってさ、治せるものなんじゃないの」
「でも!それは可能性ということであって!!」
「自分が諦めてどうする!医者の力はあくまで半分、成功の鍵を持ってるのは自分だよ。自分が諦めない限り細胞はそれに応えてくれる。医者も頑張ってくれる。他の人が君のために頑張ってるのに本人が諦めちゃ治るものも治らない!!」
グッと大和は胸ぐらを掴まれた。痛い、苦しい、自分の腕の痛みより遥かに痛く感じた。あぁ何故、自分はこんなにも無力で、無知なのだろう。自分で自分を殴りたくなるほどの焦燥に駆られた
「応えて。君が本当にやりたいことはなに?」
「っ、もう一度、もう一度思いっきりテニスがしたいです!そして願わくば、手塚くんともう一度試合がしたい!!」
「うん。それが聞けて安心した」
Aの手が離れる。久しぶりに触られた手は冷たく、明らかにここの人間では無いことを明らかにさせていた
「シロさん」
「ん?」
「ありがとうございます」
沈黙が二人の間を走る
そしてAは口を開いた
「…やっぱ大和くんってドMだよね」
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雲雀 - まいさんへ俺は亀更新でも楽しみに待っています。なのでゆっくりでもいいので更新楽しみに待っています。 (2021年9月30日 19時) (レス) @page29 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 雲雀さん» コメントありがとうございます!亀更新ですがよろしくお願いします。 (2021年9月27日 12時) (レス) id: ed3b470f19 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 面白かったです。これからの更新頑張ってください!楽しみにして待っています。 (2021年9月25日 15時) (レス) @page32 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まい | 作成日時:2021年5月3日 14時