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3話 ページ28

「Aさん、こんにちはーってまたシロさんが先ですか」

「にひひ、お先ー」


あれから大和は、Aのお見舞いをする度に会うシロ(名前が分からないのは不便だと大和が命名)と話していた

あの日、カーテンを外してほしいと言った大和
結論から言うと彼女の顔は見えなかった。夕暮れ時ということもあり、空も暗かっため顔が影で隠れていたのだ

ただ大和が分かったことは彼女の髪や服が異様な程に白いということ
そこから"シロ"と名付けたらしい

ちなみにだが、大和のことは"クロ"と呼んでいる


結局シロがAだとはバレなかったのだ



「またそのワンピースですか」

「私の美しさがより際立つ服でしょ?」

「…はい、そうですね」

「クロくん冷たい!!」


カーテン越しでポーズをとるAを軽くあしらう姿にあの時のようなトゲトゲしさは無かった



「Aさん、起きませんね」

「…そうだね」


包帯やガーゼも少しずつだが取れてきているのにAは一向に起きない

最近見えるようになった夕焼け色の髪を撫でる大和はどこか浮かない顔をしている



「起きたくなかったりして」


大和はAが何を言ったのか理解するのに数秒かかった
どういう事、と大和が口を開いた瞬間声がかさなった



「なーんてね。早く起きて欲しいねー」


先程の空気はなかったかのように話すのを大和はじっと見る
窓のサンに座っているシロ。そこが定位置になりつつある彼女はAと被って見えた



「前から思っていたんですけど、Aさんと似てますね」

「そう?」

「仕草や言い方が時々Aさんと被って見えるんです。あ、いや、たまたまだと思うんで…忘れてください」


段々と目線を下に下げてしまった大和


ほんとにそうだったらどうする?
なんて言っても余計混乱させるかな、そう思ったAはわざとらしく話題を変える



「ねぇ、クロくん。これってテニス部の子達が置いてったの?」

「へ、あ、そうですけど」


カーテンからひょこりと出た指が指したものは、ベット付近にある机だった



「お花に、色紙、これは…服?」

「それはレギュラージャージと言ってレギュラーしか着れないものなんですよ」

「確か部の中で強い人の事だよね」

「はい」


この前教えてくれたもんね。じゃあこれは戦闘服だ!なんてはしゃぐ姿に大和は何だか微笑ましい気持ちが芽生えるが、ある一言で固まった



「ほんと、綺麗なトリコロールカラー」


その言葉が大和の中で妙に残った

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設定タグ:テニスの王子様 , トリップ , 年齢操作   
作品ジャンル:ファンタジー
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雲雀 - まいさんへ俺は亀更新でも楽しみに待っています。なのでゆっくりでもいいので更新楽しみに待っています。 (2021年9月30日 19時) (レス) @page29 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 雲雀さん» コメントありがとうございます!亀更新ですがよろしくお願いします。 (2021年9月27日 12時) (レス) id: ed3b470f19 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 面白かったです。これからの更新頑張ってください!楽しみにして待っています。 (2021年9月25日 15時) (レス) @page32 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まい | 作成日時:2021年5月3日 14時

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