2話 ページ13
パカッと蓋を開けるとそこは全面卵の皮だった
「…オムライス?」
「ぴんぽーん正解」
先輩がくれたオムライスはキラキラして見えた。美術で習った黄金色…みたいな
スプーンで掬うとそこから考えられないほどふわふわで、とろとろな卵が出てくる。食欲がすごくそそられた
俺は人目も気にせず大口を開けてパクリと入れるとぶわって鳥肌が立つ。美味しい
自分の語彙力が無さすぎて美味しい、美味いとしか言えない自分が悔しい。でも、そのくらい凄いのだ。先輩のオムライスは
「にひひ、どう?」
「っぐ…美味しい!先輩どうやって作ったの!?俺にも教えてー!」
知りたい。こんなにオムライスを美味しくできる方法を。キラキラしてまるで宝石のような料理を作れたらどんだけいいだろう!
「ふぐっ!?」
「それは自分で考えな。料理ってのは人それぞれ好みがあるんだ。沢山考えて沢山作って自分の中でこれだって思うものが最高の作品になるんだよ
模法なんてつまらないじゃないか」
俺は先輩に頬っぺを押されたまま言われた
なんでも聞くのは間違い、確かにそうかも…たっくさん探検してやっと探し出した方がもっと美味しくなるもんね!!
「じ、じゃあ!俺がいっちばん最高なものを作ったら先輩食べて!!」
「おっいいのかい?」
期待してるぞリトルシェフって言われた。なんだかちょっぴり照れくさいにゃ
……ってか痛い!!
「先輩頬っぺ離して!!」
うにゃー!って言ったら笑いながら離してくれたけど、先輩反省してないのが丸わかりだ
先輩が料理上手ってことが知れて凄く嬉しい気持ちがあった。自分だけが知ってること。…でも、もっと他にも知りたいって思った。なんでだろう?
あれから俺は自分の当番の日になるとオムライスを作るようになった
とびっきり美味しくなるようにキラキラ光る宝石になるように
だけど、先輩は今病院にいる
部長から死なないって聞いた時は凄く嬉しかった。でも、目を覚まさないって何…?
もし、ほんとにそんなことになったら俺は嫌だよ
先輩起きて、俺あれから頑張ったんだよ
大石とのダブルスもすっごく上達したし、英語も…少しは出来るようになったし、オムライスだって先輩に比べたらまだまだだけど美味しくなったもん
先輩の腕ってこんなに細かったっけ。こんなに白かったっけ…ギュッて握ったら潰れちゃいそう
ねえ先輩起きて
凄いねって頭撫でてよ
俺、もう我儘言わないから
だからお願い、起きてよ先輩
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雲雀 - まいさんへ俺は亀更新でも楽しみに待っています。なのでゆっくりでもいいので更新楽しみに待っています。 (2021年9月30日 19時) (レス) @page29 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 雲雀さん» コメントありがとうございます!亀更新ですがよろしくお願いします。 (2021年9月27日 12時) (レス) id: ed3b470f19 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 面白かったです。これからの更新頑張ってください!楽しみにして待っています。 (2021年9月25日 15時) (レス) @page32 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まい | 作成日時:2021年5月3日 14時