【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ23)

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向日葵 ‐ gnzk ページ23

花壇の向日葵が綺麗に咲いてその後ろには白ひとつない濃すぎるくらいの青がどこまでも広がっている

校庭の端の方に立つ存在感のない百葉箱を覗くとそのメモリは30度を超えていた

こんな真夏に体育祭を企画する先生たちは頭がおかしいのだろうか。夏だからこそ楽しいのだろうけど。

体育祭本番は明日で、今はテントを張ったりラインを引いたりと準備中

明日体育祭だからと今日は午前の準備だけで終わる予定だが、向日葵が真上を向くような時間に外で準備をするのはいくら学生で若いからといって中々厳しい

「弦月くんっ！！」

やることもなく、景くんと晴くんと話していたところに女の子の声が僕を呼んだ

同じクラスの西澤さん。体育祭を進んで企画するようなタイプじゃないのに実行委員をやってる子

「あの、景くん知りませんか？」

「景くん？景くんなら今ここに……っていないね、どうしたの？」

よく考えたら景くんも体育祭実行委員じゃん。なんでここにいたんだ？

「あの人、自分の仕事終わったからってサボってて」

「あーーーー僕代わりにやろうか？」

「いや、申し訳ないから大丈夫！景くん見つけたら教えてもらってもいい？」

「うん。おっけー」

「お願いします」

そう言ってぺこりと頭を下げ、溢れてくる汗を手の甲で拭いながら高い位置で結んだポニーテールを揺らし走っていってしまった。

「ねえ晴くん。あの二人いつ仲良くなったんだろう」

「あの二人？」

「だって西澤さん景くんのこと名前で呼んでた。僕のことは名字なのに」

「あらぁ〜藤士郎も恋ですか？」

「恋、なのかな」

正直分からない

真夏の太陽にも負けないような明るい笑顔で仕事をこなす彼女を目で追ってるのは確かだけど

ところで景くんはどこに行ったのやら

戻ってくる気配もない。でもサボり続けるような人ではないからきっと直ぐに戻って来るだろう

「3組集合ー！！」

地面をジリジリと焼け焦がす音が聞こえそうなほどの暑さの中集合がかけられた僕らは担任の元へと歩き出す

そこには景くんの姿も彼女の姿も見当たらず、実行委員として別の場所で集められていた

無意識に彼女のことを目で追っていたことに気づく

思えば先に実行委員に立候補していたのは景くんだったような気がする

西澤さんは景くんのことが好きなのだろうか

柄にもなくそんなことを考える

まるで僕は太陽を追っかける向日葵みたいだなって思ったり