【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ17)

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踏むべき段階をまだ全然踏んでいな私たち

「だって、朝も夜も私がご飯を作っているんですよ？昼間はどちらも家にいないですし、だったら家賃が半分で収まるんだから同じ家に住んだ方が合理的だと思うのですが。」

「なるほど…」

確かに家賃が少なく住むならそれの方が嬉しいし、ハヤトさんとは歳が離れているし、お兄ちゃんのような存在だから。じゃあ同居しても大丈夫か？なんて、疲れた頭で考えても正しい結論に至らない気がする

彼のミルクティー色の瞳が顔色を伺うように前髪から少し覗いていた

「ダメ、ですか？」

ここで折れてしまってはいけない

お兄ちゃん的存在だと言っても私はハヤトさんのことを何も知らない

質問しても軽くかわされてしまい、自分のことを話そうとしない

「ハヤトさんにメリットありますか？」

口に出してから思った
こればどちらかと言うと肯定寄りの質問の仕方だ

メリットないと思うんですけど、とか受け付けないように言うべきだった

後悔してももう遅い
軽く下を向いていた彼の顔は眩しいほどに輝き、私と同居することの利点を次々と話す

中には少し恥ずかしい言葉も入っていたのだけど、私はそれに納得してしまった

嬉しいです！！なんてキラキラした笑顔で言われたらこれでよかったと思ってしまう

「本当に大好きです。ありがとうございますAさん。」

頬が真っ赤に染るような言葉を放っては愛おしそうな瞳で見つめてくる

「わ、私も大好きです…」

「っはぁ、私の彼女は可愛すぎますね」

「彼女…？」

まだ食事の最中だというのに立ち上がった彼は後ろからふわりと抱きしめてきた

この甘い時間も嫌いではない

食事も終わりハヤトさんが家に帰る時間

ふとした疑問を持った

そういえば、家はどうするんだろう
この部屋は一応2人で暮らせるくらいの広さだから、どっちかに住むのかな？それだったら今の生活と変わらないだろう

「あ、そうだ明日はこの住所に帰ってきてください。荷物は後日運びましょう」

「え？もう部屋契約してあるんですか？」

「勿論ですよ。一刻も早く貴方と暮らしたいので」

私に断られたらどうするつもりだったのだろうか

しかもこの住所、一等地の高級マンションなのでは？いつからこの話を切り出そうと準備していてくれたのだろうか

「そういえばAさん。これ、そこに落ちていましたよ」