【WT】硝子の靴は捨てた (ページ10)

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ただいまページ10

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そこら辺りで銃撃戦が繰り広げられていた。大声で指示を出す者もいれば、悲鳴に似た叫び声で敵地に突っ込むものもいる。初めての戦地だというのに、私は意外にも冷静で次々と襲いかかるトリオン兵を薙ぎ払っていた。

『Aそっちはどうだ？』
「削げるぶんは削ぎましたので、今からそっちに合流します」

遠征早々情報以上に苛酷な戦争が始まっていた。昔、玉狛が加盟した国に加勢して私らは1週間は戦い続けている。大方トリオン兵を倒し、私はレイジさんたちの元へ向かうと桐絵が前線で大暴れしていた。相変わらず桐絵の戦いっぷりには惚れ惚れする。

レイジさんの指示で私も桐絵のサポートに入ろうとすると、トリオン兵の軍団の中にトリオン使いが紛れ込んでいるのが見えた。桐絵からは死角らしく目に入っていない。これがもしかしたら迅くんが言ってた桐絵の危機つってやつか。トリオン使いは桐絵に向かって走っている。私は前傾姿勢で疾走した。桐絵の元に辿り着く前に、私はトリオン使いを叩き斬る。

ピシッ。トリオン使いの身体に罅が入った。これで大丈夫だろうとトリオン兵を斬っていくと、倒れていくトリオン兵が砂埃を起こす。視界の端でトリオン使いがまだ動いている姿を目にした。しつこい人だ。私はトリオン兵の心臓を穿つと顔と孤月に血飛沫が飛ぶ。すると、トリオン使いが仰向けに倒れた。

「はっ……。はは」

私はそこで乾いた笑い声を上げた。
それもそうだ。私は人生で初めて人を殺したのだから。

▼▽▼

3週間ぶりに遠征に出ていた玉狛第一が帰還した。ボーダーが大きくなってからの初の遠征だ。今回の遠征ではトリガーやトリオン兵の捕獲が出来たと報告があり開発部の人は待ち遠しく待っている中、一部の人は不安げな顔だった。

遠征艇の扉が開く。ただいまー！元気に手を振りながらトリオン兵を引っ張る小南。開発部の人は小南の元へ行き、捕えたトリオン兵を一緒に運び出す。最後に木崎と蓮月が出てきた。「Aっ！」と目の色を変えて迅が駆け寄る。

「迅くんただいま」

蓮月はへらりと笑って呟いた。

「私は大丈夫だよ」

その言葉を聞き、迅は今にも泣きそうな顔で蓮月を抱きしめた。