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　・水族館に行きたいページ18

『お兄さんは、何者なの？』

「答える前に、一つだけいい？」

『なに？』

「その質問、何で昨日じゃなかったの？」

昨日、私はお兄さんに何も聞けなかった。

理由は、

『お兄さんとの関係が崩れるなら、今日のほうがいいかなって。イルカショーも、ヒトデ触ったのも、お魚たくさん見て回ったのも、全部お兄さんと一緒だから楽しかったんだよ。今日だけじゃない。この一週間、お兄さんがいたから楽しかったんだと思う。』

話し終えると、お兄さんは水槽に預けたままだった視線をゆっくりと私に向ける。

「俺は、…犯罪者なんだ。」

そして、ゆっくりと自分のことについて語り始めた。

「高校生の時に同級生を大怪我させて少年院に入った。そこを出てからはずっと夢だった美容師になるためにバイトで金貯めて、専門学校行って。…でも、俺が思ってるより世間は厳しくて、どこもなかなか雇ってくれなかったし、雇ってくれたところも、辞めさせられた。そんな時に君と出会って、君を救いたいと思った。」

『どうして、』

「君が俺に助けを求めているように見えたから。死にたいのは本当なんだろうけど、俺にそれを話したってことは、君は心のどこかで助けてほしいと思ってるんじゃないかな、って。」

『そっか。』

少しの沈黙が訪れる。

破ったのは、

「君の話も聞かせてほしい。…ダメかな？」

お兄さんだった。