Thirty Four ページ34
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それからゆっくり立ち上がって、足を引きずりながらドアまで歩いていく。
なにか、言わなきゃ。
口はパクパクと動いたまま声が出てこない。
『閉会式いくわ
イスでも、ベッドでも座って安静にしてて』
いつもより少し寂しそうな声の平野がふにゃりと笑って出ていこうとする。
「、、、まって!!」
乾いた喉から、少し掠れた声が出てきた。
「わたし、まだ終わってないから。
ちゃんと、ケジメつけないといけないこと、あるから」
「だから、、、」
平野は何も言わない
ただドアに捕まって、じっとこちらを見ているだけ。
「だから、待っててくれる?」
精一杯、言葉を繋いだ。
恐る恐る、彼の方を向くと
真剣な顔だったのが、また困ったような優しい顔で笑って
静かに
『うん』
って言った。
私は痛む太ももを庇いながら平野に近づいて
筋肉質なその体にギュッと抱きついた。
心臓がバクバクしている。
後になって分かった
あのときの胸の鼓動を
ずっと忘れられなくなった理由を。
平野先生が、好き。
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きな子(プロフ) - なぎささん» ありがとうございます!(><)更新頑張ります…! (2017年4月22日 20時) (レス) id: d1d8a217a8 (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ - 面白くてハマっちゃいました!(笑)更新楽しみにしてます! (2017年4月16日 14時) (レス) id: bbf1916b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きな子 | 作成日時:2017年3月25日 10時