ユーフォニアムさんとの日常 ページ9
「はぁ……」
「……なんかお疲れだね。どうしたの?」
「あはは、今日は色々あって……Aさん、お悩み相談室ってまだやってますか?」
「もちろん。悩みがあるなら聞くよ、ユーフォ」
そう言うと、彼女は嬉しそうに表情を綻ばせたあと、また大きなため息をついた。
「……悩んでるのは、主に人間関係についてなんですけど……最近、ホルン先輩の当たりがキツくて」
「あー……最近フリューゲルちゃんが戻ってきたから、そのせいかも。逃げ回ってるから疲れてるんだろうけど、ちょっと理不尽なときあるよね」
「ですよね!? トロンボーン先輩もなんか怖いし……
はぁ、なんで私中低音なんでしょう……」
……包み込むような中低音が特長のユーフォニアムは、楽器内では新人ということもあって、主に人間関係でかなり苦労を強いられている。
吹奏楽などで金管中低音と言えば、ホルン、トロンボーン、ユーフォを指すことが多い。……だが、彼らの仲は良好とは言い難い。
「トロンボーン、意外とプライド高いからね……最近の吹奏楽曲だと、ユーフォが1番ソロ多いでしょ? それを気にしてるんじゃないかなぁ」
「あはは……なんならマウスピースもほぼ変わりませんし、先輩が吹いてくれてもいいんですけどね……」
「まさか。……ユーフォの音じゃないとダメだから、ユーフォにソロを書いてるんだよ」
「Aさん……! そんなふうに言ってくれる人、Aさんだけです」
さっきまでため息をついていた彼女が嬉しそうに笑っている顔を見ると、こっちまで嬉しい気持ちになる。
「そう言えば、金管バンドの方は大丈夫なの?」
「そうなんです……アルトホルンちゃんは席も離れてるし、まだマシなんですけど、バリトンくんが特にひどくて……」
英国式ブラスバンドでは、サックスの考案者として名高いアドルフ・サックスが考案した、サクソルン属の楽器が多数使われる。
サクソルン属であるアルトホルンとバリトンは実の兄妹。イギリス人らしく皮肉好きな2人にとって、反応のいいユーフォは格好の餌食だ。
「あの子の性格的に、ただの照れ隠しな気もするけどな。好きな子ほどいじめちゃう、みたいな?」
「えぇ、そうですかね……? ただ嫌われてるだけだと思いますけど……」
「あはは、それはないでしょ」
目立たないけど、気がついたらそばにいて、優しく寄り添ってくれる。……そんな彼女を嫌う楽器なんて、多分この店にはいないだろう。
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もも - べるーがさん» なんか泣ける… (4月19日 0時) (レス) @page44 id: 8826ef9895 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» すみませんお待たせしました!! いつも以上に作者の趣味全開で書いてしまって本当に申し訳ないんですが、よければお納めください……🙇🏻♀️ (4月17日 1時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» そうです!! (4月11日 0時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます〜!! 一応確認したいんですけど、弦楽器のコントラバスで合ってますか……?? (4月11日 0時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» リクエストでコントラバでお願いします!!! (4月9日 15時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べるーが | 作成日時:2023年3月1日 23時