�� ページ40
｢……っるせぇな……！！ ああそうだよ、真似したよ！ だってあのままじゃ、俺は一生戦場でこき使われるだけで終わってただろ！｣
彼は溜め込んでいた感情やストレスを爆発させるように、大きく声を荒らげた。
｢さっきから、俺が何の苦労もしてないみたいに言いやがって……！ 戦場に行ったこともないお前に、俺がどんな思いでここまで来たかなんて分かるかよ！｣
｢は？ テメェ、どの口が言ってんだ！
軍用楽器じゃねぇからって、無意識に俺を見下してんのはお前の方だろうが！｣
｢……っ、この……っ！！｣
｢……はいはい、ストップ。兄弟喧嘩にしたって、少しやり過ぎだよ。……2人ともね｣
……できるだけ怒りを鎮めるように、優しい口調で言ってみたが、おそらく今の2人には焼け石に水だろう。
｢……頭を冷やす意味でも、1人ずつ話そうか。
先にコルネットから、隣の準備室に来てくれるかな｣
2人は無言のまま頷き、互いに背を向けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
｢……びっくりしたよ。君があんな風に挑発するところなんて、初めて見た｣
｢悪かったな、見苦しいもん見せて。……お前の前であんな安い挑発、したくなかったんだけどな｣
彼は分かりやすく後悔を顔に滲ませながら、そう呟いた。
｢……あいつのしたことは許せねぇし、正直反吐が出るほど嫌いだ。けど……あんな風に八つ当たりする俺の方が、もっと嫌いだよ｣
｢……どうして、あんな風に言ったの？｣
｢……努力を否定されたことが、頭にきたんだ。……確かに俺は、軍用楽器の経験はねぇけど……それでも、俺なりに努力してきた。その結果が今の俺だ。
……あいつが軍用楽器時代、それこそ死ぬほど苦労したってのは分かってるつもりだよ。けど……戦場に行ってないからって、俺の努力を否定するのは違うだろ｣
机の上で握られた拳が、握る強さを増す。……よっぽど悔しかったのだろうか、その拳はわなわなと震えていた。
｢……らしいけど、君はどうなの？ トランペット｣
ドア越しに除く人影に声をかけてみる。……彼は少し躊躇ったあと、おもむろに準備室に足を踏み入れた。
｢はっ、盗み聞きかよ。ほんっとに趣味悪ぃ野郎だな｣
｢……コルネット｣
｢チッ……わーってるよ｣
さっきと同じように悪態をつこうとするコルネットを諌めると、彼は渋々といった感じで口を閉じた。
オススメの楽器さん
バスクラリネット
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もも - べるーがさん» なんか泣ける… (4月19日 0時) (
レス) @page44 id: 8826ef9895 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» すみませんお待たせしました！！ いつも以上に作者の趣味全開で書いてしまって本当に申し訳ないんですが、よければお納めください……🙇🏻♀️ (4月17日 1時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» そうです！！ (4月11日 0時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます〜！！ 一応確認したいんですけど、弦楽器のコントラバスで合ってますか……？？ (4月11日 0時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» リクエストでコントラバでお願いします！！！ (4月9日 15時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：べるーが | 作成日時：2023年3月1日 23時
