続き ページ33
「へぇ、双子でもお姉ちゃんの方が早く生まれてるんだね」
「早くって言っても、せいぜい半世紀くらいでしょ?
ほぼ同時じゃん」
「……まぁ、Aちゃんは人間だからね。
「あはは……そうだね。
私がそう告げると、部屋の空気が一気に凍りついた。……いつも無表情な2人の瞳が、一瞬、悲しげに揺らいだような気がした。
「……そう、なんだ。分かってはいたけど、本当に短いね」
「…………」
「あ……はは、なんかごめんね。
……そんな顔、させたかったわけじゃないんだけど」
……空気を変えようと明るい話題を探していたとき、終始黙り込んでいたオーボエが不意に口を開いた。
「……俺は、今さら人間の死に関して思うことなんてない。人が死ぬのなんて当たり前だし、俺らがどうこうできるわけでもないから」
「……そうだね」
「……けど俺、あんたのことは結構気に入ってるんだよね。だから……そういうこと、あんまり言わないでほしい。いつか死んじゃうとしても……今はまだ、一緒にいて」
「……!!」
彼はそう言って、真っ直ぐに私の目を見つめた。……ドライな性格のオーボエが、こんな風に思ってくれているとは思わず、つい固まってしまう。
「僕は……とてもじゃないけど、オーボエくんみたいには割り切れない……かな。Aちゃんがいなくなったら、って考えるだけで、すごく辛いから」
「……」
「……君といる時間は、僕にとっての“特別”なんだ。だから、って言ったら変だけど……ほんの少しでいいから、君の記憶に居させてほしい。……駄目、かな」
「……っ、2人ともこれ以上は勘弁して…………照れすぎて死ぬ……」
……紅潮する頬を誤魔化すように、両手で顔を覆う。2人とも普段は無口な分、こういうセリフの破壊力は凄まじい。
「し、死ぬ……!?」
「馬鹿馬鹿しい、こんなことで死なれても困るよ。……言質は取ったからね、A。“ずっと一緒にいる”って」
「……ふふ、そうだね」
……彼らにとっては、ごく短い時間でも……私にとっては、この一瞬一瞬がかけがえのない時間だ。
そう思えるほどには、私は多分____
「……Aちゃん? どうかした?」
「っふふ……ううん、なんでもない」
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バスクラリネット
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もも - べるーがさん» なんか泣ける… (4月19日 0時) (レス) @page44 id: 8826ef9895 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» すみませんお待たせしました!! いつも以上に作者の趣味全開で書いてしまって本当に申し訳ないんですが、よければお納めください……🙇🏻♀️ (4月17日 1時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» そうです!! (4月11日 0時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます〜!! 一応確認したいんですけど、弦楽器のコントラバスで合ってますか……?? (4月11日 0時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» リクエストでコントラバでお願いします!!! (4月9日 15時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べるーが | 作成日時:2023年3月1日 23時