【短編集】楽器さんたちとの日常

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｢……よく、分かりません。
それらは音楽ではなく、環境音ではないのですか？｣


｢ふふ、確かにそうかもね。捉え方は人それぞれだから、環境音だって言う人もいるかもしれないけど……

……私にとっては、聞いてて心が動かされれば“音楽”で、その音楽を奏でるものは全て“楽器”だよ｣


｢心、ですか？｣


｢うん。それに、たとえ君の音が内蔵されたデータだとしても……そこから生まれた感動は、きっと“オリジナル”なんじゃないかな？｣


｢……！！｣


暗い影が差していた彼女の瞳に、一筋の光が差し込んだ。


｢それに、私が会話できるのは楽器だけだからね。
さすがに電化製品とは会話できないよ｣


｢……！ ふふっ、確かにそうですね。
ありがとうございます、マスター｣


｢あはは、どういたしまして。
こんな分かりづらい説明でも役に立てたかな？｣


｢はい、とても。
……今なら、自信を持って言えます。私は“楽器”であると｣


どこか自信に満ちた笑顔を浮かべながら、彼女はそう言ってのけた。

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