フルートさんとの日常 ページ1
「……あぁ、ようやくお目覚めになりましたね。おはようございます、Aさん」
小鳥のさえずりのような澄んだ音で目を覚ますと、柔らかく微笑むフルートさんの姿が目に入る。菅体と同じ白銀の髪と瞳は、朝日に当たってキラキラと輝いていた。
「おはよう……あれ、なんで店に……」
「昨日、お仕事の途中でそのまま眠ってしまわれたんですよ。……覚えていらっしゃらないんですか?」
「……まじか、やらかした……」
……そう言えば、昨日はリストアップが終わらなくて残業してたんだっけ……
「……ふふ、本当にあなたは相変わらずですね。自分のことは二の次で、
……あなたはまだお若いんですから、たまには私のことも頼ってください」
彼はそう言って、困ったように微笑みながら、私の頭を優しく撫でた。細い指が髪の間をすり抜けていくのがくすぐったくて、つい笑みがこぼれた。
「あはは、ありがとう。……そうだったね、なんてったってフルートさん3000歳越え……」
「……今なんておっしゃいました?」
「痛だだだだっ痛い痛いって!!」
……優しく撫でられていた状況は一転、頭を掴まれたまま力を入れられる。まとわりついていた眠気は、一瞬でどこかに吹っ飛んでいった。
「すみません、少し力を入れすぎましたね。
ふふ……けど、目が覚めたみたいで良かったです」
「……フルートさん、怒ってる……よね?」
「まさか。……じじい呼ばわりされたことなんて、全く気にしていませんよ」
管楽器トップレベルの機能性と多彩な音色を持つフルートさんだが、それに比例して年齢も管楽器トップクラス。
……本人にとっては、それがコンプレックスらしい。
「ごめんフルートさん、なんでもするから機嫌直して……」
「なんでも、ですか?」
「……まぁ、私にできることならね」
彼は少し考える素振りを見せたあと、可笑しそうに微笑んだ。……改めて見ると、本当に綺麗な顔だ。
「……では、久しぶりにお手入れしていただけませんか。少し磨いていただくだけでもいいので」
「そんなことでいいの? 新しい
「ええ。……好きなんです、Aさんにお手入れしていただくの。大事にされているような感じがして」
「……ふふ、分かった。時間もあるし、キーオイルも差しておくね」
「ぜひ。お願いします」
オススメの楽器さん
バスクラリネット
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もも - べるーがさん» なんか泣ける… (4月19日 0時) (レス) @page44 id: 8826ef9895 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» すみませんお待たせしました!! いつも以上に作者の趣味全開で書いてしまって本当に申し訳ないんですが、よければお納めください……🙇🏻♀️ (4月17日 1時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» そうです!! (4月11日 0時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
べるーが(プロフ) - ももさん» リクエストありがとうございます〜!! 一応確認したいんですけど、弦楽器のコントラバスで合ってますか……?? (4月11日 0時) (レス) id: a87c674b3c (このIDを非表示/違反報告)
もも - べるーがさん» リクエストでコントラバでお願いします!!! (4月9日 15時) (レス) id: 2bfbe6c963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べるーが | 作成日時:2023年3月1日 23時