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岩本side
「っし！曲通すぞー！」
新曲の振り入れ
て言っても今回はそこまで難しくないから
みんな2、3回教えれば覚えてくれる
はずなんだけど、
ここんとこ最近ちょっと佐久間の覚えが悪い
いや、覚えが悪いっていうより
ちゃんと覚えようとしてるんだけど体が追いついてない感じ。
それで必死になって焦ってるのか、休憩中もひとりで鏡の前で振り確認してて
なんか全部が全部空回り、って感じ。
「佐久間、ズレてる」
佐「っ、ごめ、！」
今もさっきと同じところ間違えてるし
今日何回も「佐久間」って呼びすぎて呼んでるこっちが申し訳なくなりそうなくらい
.
渡「佐久間、お前最近たるんでね？」
佐「………へ、」
通してちょっと休憩してた時
しゃがんで息を整える佐久間に翔太が言い放った。
深「ちょ、翔太言い方」
渡「いや事実だろ。今日だけならまだしもこんなのが何週間も続いてたら流石に迷惑なんだよ」
深「だから言い方あるだろ」
ふっかが翔太を静止しようとする
けど、
なんか、やっぱりみんなそう思ってた節があるのか
佐久間を庇うことなく気まずい空気が流れて。
佐「…あ、ごめ、迷惑、かけちゃってた？」
ぽつりとレッスン室に響いた声。
それにもみんな気まずそうで。
「まあ、正直」なんていう誰かの声が聞こえて、
その途端佐久間はなにかを堪えるみたいに俯いて「そっかあ」なんて泣きそうになってて。
佐「ごめん、迷惑かけちゃって」
「いや別に謝ることじゃねえよ」
佐「でもひかるも迷惑だったんでしょ？」
「いや、迷惑、てか、………ごめん、わかんねえ」
言葉が詰まった。
そんな俺を見て、眉を顰めて笑った佐久間。
めちゃくちゃ苦しそうな顔で。
我慢するみたいに何回も頷いて、「そっかあ」って、隠すみたいに笑った。
佐「………ごめん、ちょっと頭冷やしてくる。とりあえずみんなでやっといて」
「ちょ、佐久間！」
止める間も無くサッと出て行った。
でもチラッと見えた顔はやっぱり辛そうで。
大きな目にはいっぱいに涙が溜まってて。
ラ「…佐久間くん、大丈夫かな」
目「俺追いかけてくる」
渡「いいよ、放っとけ」
目黒の手を掴んで止めた翔太
渡「あいつは今ひとりにさせるべきだから」
.
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作者名：やまさき | 作成日時：2021年4月16日 17時
